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 サイバー攻撃を巡る米国と中国の摩擦が激しさを増しているが、EMS(電子機器受託生産サービス)/ODM(Original Design Manufacturer)業界にも飛び火する可能性が濃厚になってきた。

 まず、米中間のサイバー摩擦をおさらいしてみる。米司法省は2014年5月19日、中国人民解放軍の将校ら5人を産業スパイの罪で起訴したと公表した。これに対して中国は、中国政府機関の調達を管轄する政府調達センターが、中央政府が購入する全てのパソコン(PC)を対象に、米Microsoft社のOS「Windows 8」をインストールしてはならないとの通達を出した。調達センターのホームページに掲載されたこの通告は5月16日付となっているが、表面化したのは同20日のこと。米企業の商業機密を盗んだとして中国人将校らを起訴した米国に対して、中国が米企業のMicrosoft社を標的にした報復措置であることは明白だ。

 さらに5月27日には米国メディアの『Bloomberg』が消息筋の話として中国政府が中国の商業銀行に対し、米IBM社のハイエンドサーバー使用を見合わせるよう圧力をかけていると報道した。中国の中央銀行である中国人民銀行と政府財政部などが、国内の商業銀行がIBM製サーバーに依存していることにより、金融システムの安全にリスクが生じていないかどうかを調査中だというもの。この調査には中国国家発展改革委員会、工業・情報化部などの機関も参与しているという。

 中国紙『世界経済報道』は5月20日付で、「Microsoft社が失ったのは、政府調達関連の受注だけではない。大型国有企業の調達は、政府調達と常に連動する」として、国有企業からの受注にも大きな影響が出るとの見方を示した。ただ一方で、台湾紙『中国時報』(5月22日付)によると、台湾Acer社(宏碁)の施振栄董事長は5月22日、「ハードウエアにはさまざまな種類のOSをインストールできるのだから、ハードウエア業者の受ける影響は限定的なものだ」「仮にこの政策が確定した場合、ハードウエア業者はOSを替えれば済むことだ。私たちは顧客の需要に応じてカスタマイズした製品を提供することができる」などとして、PCブランドメーカーや受託生産業者などハードウエアの供給業者は、中国政府によるWindows 8搭載PCの禁止による影響をそれほど受けないとの考えを示した。台湾系EMS/ODM業者らからも、特に目立った反応は出なかった。