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 日本企業のロボットへの対応も様々です。犬型ロボットのアイボを開発するなど、ロボット開発では世界トップ水準にありながらロボット事業をやめてしまったソニー。その一方、Softbankは2012年にフランスのロボット開発を手掛けるベンチャーAldebaran Roboticsに出資し、Aldebaran Roboticsと共同で人型ロボットPepperの開発、販売にこぎつけました。

 Pepperは20万円近い価格からも、すぐに大きな市場になるわけではないでしょうが、Softbankは通信事業から得た収入を使って、しばらくはロボット事業を支えるつもりでしょう。こうした事業領域の拡大や再編はロボットだけではありません。自分のことで恐縮ですが、私の研究はデータセンタなどで使われる高速なストレージですが、とても似たケースが多く、シャフトは身につまされる話でした。

 GoogleやFacebook、Amazon.comなどは巨大なデータセンタを抱えています。こうした企業は以前はITベンダからストレージを購入していましたが、最近はストレージを自社で開発するようになってきています。彼らはストレージ単体のビジネスは考えておらず、ストレージの開発自体にコストがかかっても、高速な検索などのサービス(の広告収入)でストレージの開発費を回収できれば良いのです。

 その結果、最近、私の研究に興味を持って下さる企業はメーカーよりも、こうしたサービス企業に移りつつあります。ストレージを本業とするITベンダよりも、巨大なネットサービス企業の方が圧倒的に資金力があるのです。資金の源はストレージというハードウエアの事業ではなく、サービス、広告収入です。これはロボットのケースと酷似しています。

 ストレージの分野でのもう一つの顕著な動きは、半導体メーカーの進出です。最先端の半導体の製造を続けるために、半導体メーカーは数千億円レベルの投資を毎年行っています。つまりIT企業に比べれば桁違いの投資を行っているのです。まだIT分野では能力が劣っていても、半導体メーカーが半導体の投資の例えば1割をストレージの投資に振り向けたら、ITベンダにとってはかなりの脅威になるのではないでしょうか。

 ハード・ソフト・サービスが融合する時代では、このように強い事業領域を持っていて資金が潤沢な企業が本業での高い利益をテコに隣の領域に進出してくる。ひょっとしたら、IT業界は、Googleなどのサービス企業と半導体などの巨大なハード企業の両方から攻められ、挟み撃ちにあっているのかもしれません。

 自社がある分野のトップであると思っていたら、隣の分野から巨人が入ってくることで、業界全体が無くなってしまうことさえもある。自社は業界トップだから大丈夫、というわけではないのです。市場が小さくニッチである間は大丈夫でも、ロボットのように市場の将来が有望視されてきたり、市場が急拡大してくると、異業種の巨大企業が参入してきて既存のプレーヤーが一掃されることもよくあるのです。

 生き残るためにやるべきことは明確です。自分の狭い事業領域に閉じこもっていたら、他の領域から来た巨人企業にあっという間に市場を奪われてしまうかもしれない。「やられるまえに、やれ」のビジネスの鉄則の通り、自ら領域を広げていくしかないのです。まずは、「それは自分の仕事ではありません」という意識から変える必要があるのではないでしょうか。