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技術にもライフサイクルがある

 1960年~80年代にかけて日本やドイツの猛追を受けた米国は、一時は衰退を思わせるよろめきを見せたものの再び活力を取り戻し、ロケットの2段目が点火したかのように他国を引き離し、豊かさを確たるものにしていった。IT(情報技術)やソフト技術分野における成功が、このことに大きく寄与している。

 電機や機械技術がアナログの電子技術領域に主役技術がシフトしていったタイミングにおいて、日本は高密度実装による軽薄短小化で競争力を高め、時代の主役技術を支配することに成功した。しかしそのままデジタル制御の分野に移行する90年代以降は、その第2波に乗り切れず、後続のNIEs諸国に王座を手渡してしまった。

 列強に追い付くことしか経験のなかった我が国にとっては、初体験ゆえに仕方のないことだったのだ。ただその時期にそれ以上に大きな次の波が既に動き始めていた。それがITソフト~システム技術である。米国はその大波を確実に捉え、世界王座の地位奪還に成功したわけだ。

 図1からも分かるように、これまでの時代の主役が誰も到達し得なかった「世界平均比4倍」という驚異的な強さを手にし、米国は世界の盟主たる位置を維持し続けている。

 これまで、時代を担う国々とそれぞれの時代を担う技術との関係について述べてきた。このことによって、国に栄枯盛衰があるように技術分野そのものにもライフサイクルがあるということをご理解いただけたと思う。そこで改めて、技術分野のライフサイクルをS字カーブで表現してみた(図2)。

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 耐久消費財の大量生産が始まり、科学技術の成果が日常生活に反映され始めたのは19世紀末以降のことである。

 トーマス・エジソンが蓄音機や白熱電球などの発明を連発し、同時期に内燃機関を搭載した自家用車の元祖・T型フォードの量産もこのころに始まった。機械技術の分野が縦横無尽に開拓され、毎年のように新しい工業製品が登場することで人々の生活風景や価値観は大きく変貌した。