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 デザインの分野においても、大衆への普及を意識したアール・ヌーボー様式が19世紀末に生み出された。その系譜は、工業色を強めながら20世紀初頭に大流行したアール・デコ様式へと受け継がれていく。

 このアール・デコ様式の流行を先導した都市の一つがニューヨークであった。この流れはコンプレッサー(圧縮機)生産という機械量産技術の賜物である「冷蔵庫」が普及率50%(米国)を超える1940年代まで続き、世界は再び大戦へと突入する。

 機械~電気技術分野における「露天掘りのように新製品が続々登場する時代」が徐々に終息し、ちょうど世界が終戦を迎えた頃には、気付けば科学技術の漁場は次なる領域へとシフトしていった。それが日本の時代を支えた電機~アナログ電子機器の時代である。

 その時代とは、米国AT&T社・ベル研究所のウイリアム・ショックレー博士らによって発明されたトランジスタ素子に端を発するものだ。1956年にノーベル物理学賞を授けられたその学術的功績は、当時のエマージング国・日本のソニーによっていち早く実用量産化が図られ、一時代を築き上げることとなった。

1990代から始まった技術の二大潮流

 ソニーの活躍と符合する日本の高度成長の話は前述の通りである。しかしながらその後バブル崩壊を終えて日本経済がピークアウトしていく90年代になると、中核技術の潮流は2つの方向へと進み始める。

 1つはデジタル化で、これによってハードウエアはコモディティー(汎用品)化の道をたどる。すり合わせの価値は目減りし、モジュラー化&国際的な水平分業へとモデルが進化し始め、モノ作りの風景は一変した。

 もう1つ、技術分野に大変革をもたらすトリガーとなったのが「インターネットでつながる時代」の到来である。

 「つながる世界」は土管の口径を着実に膨らましつつ、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の形態を経てクラウドサービスへと進化を遂げる。世紀をまたいでの10年間とは、まさにクラウド・ソーシャルメディアが露天掘りで出現する勃興期となった。

 ヤフー、アマゾン(1994年)、グーグル(1998年)、リンクドイン(2002年)、スカイプ(2003年)、フェイスブック(2004年)、ユーチューブ(2005年)、ツイッター(2006年)など、今日に名だたるSNS(交流サイト)のメジャープレーヤーたちは、ことごとくこの期間中に創設され、それらはことごとく米国産である。これこそがアメリカが捉えた大波の結実であり、図1で示したように米国の豊かさが2段ロケットのように更に上昇力を備えた所以なのだ。

 だが、それで終わりではない。既に「次期主役」を約束されている技術が、雪の下で着実に芽をふくらませている。次回は、その正体について分析を進めていきたい。

この記事は日経ビジネスオンラインのコラム:未来に学べ! メガトレンド2023から転載したものです。