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シェアしているのは未来

 これらの試みがすべて成功するかどうかは分からない。ただ、こうした新しい居住形態に共通するのは、スペースのシェアで経済性を追求するとか、1人では保有するのが難しいような設備を共有するといった、単なるモノのシェアを超えているということだ。重視しているのは、同じ夢を持つ人同士の切磋琢磨や助け合い、居心地の良いコミュニティー、さらに自分自身の成長だ。つまり、シェアしているのは、住む人それぞれの「未来」と言っていいかもしれない。

 さらに、地域コミュニティーの未来をシェアする試みも始まっている。昨年4月、神田淡路町にオープンした「ワテラススチューデントハウス」は、地域交流活動をすることを入居条件として、近隣の相場より2~3割安価な家賃設定となっている。

 家賃が安い代わりに学生たちは神田祭、千代田区の運動会、夜回りのうちの一つ、さらにボランティアなどのポイント制の地域交流活動に、年間12ポイント以上参加することが義務付けられている。入居面接を経て、まちづくりに興味をもつ学生が集まり、学生のアイデアを活かした地域活性化イベントも開催されているという。

 急速に少子高齢化が進む神田地区。常に若い力を呼びこむことで、地域の活力維持を目論んでいるのだ。活動の中から、コミュニティーの未来につながるアイデアも生み出されるかもしれない。

 こう考えると、私が過ごした寮も新しいシェアの形を提示できる可能性がある。最近、若者の間でソーシャルビジネスに興味を持ち、NPO法人などに就職する例が増えているという。タイやバングラデシュなど、東南アジアで、現地の雇用を生み出すビジネスを起業する若者も出てきた。

 実は、寮を運営するカトリックの修道会は、フィリピンで貧しい青少年を支援する活動を行っている。例えば、アジアでの社会貢献を志す人が集まり、フィリピンでのボランティア活動で実地の経験を積みながら、ソーシャルビジネスのアイデアを具現化していくといったことも考えられる。アジアの未来を共に創っていくのだ。

 シェアハウスが、そこに住む人の、あるいは地域コミュニティーの、さらには世界の「未来」をシェアすると考えたとき、共同で住むことの新しい価値を生み出していくことができるのではないだろうか。