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タスクフォース編成
タスクフォース編成
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 準備段階が終わると、次はいよいよ「説得」の段階となる(関連URL)。準備したシナリオに従い、相手との交渉になる。ここで注意がいるのは、準備は自分自身で行えるため、自分でコントロールできることである。その一方で、説得は相手に行うため、自分がコントロールできるわけでない。当たり前のことであるが、意外に忘れてしまう。そのため、説得段階では、準備段階とはまったく異なるアプローチが必要である。説得過程には、アジェンダづくり、説得ステップ、役割分担、ビジョン提供、時間管理、リスクマネージメント、会議のログ取りなどが必要となるが、その中で、説得を成功させるための3つの要素を挙げる。

(1)ビジョン
 説得段階での決定者(合意すべき相手)は交渉相手である。こちらからの説得が成功するか否かは、相手が形成していくビジョンと、こちらのビジョンがどれだけ同一COMMONか、互換COMPATIBLEかによる。大切なことは、交渉相手が、自分で理解し、自分のビジョンを作り上げるのを助けることである。交渉者がパワープレーで、自分のビジョンを相手に押し付けるのではない。

(2)科学的分析
 交渉にあたって入手可能な情報量は、今日著しく増加している。交渉相手の事業に関する情報から、交渉相手のポートフォリオ、交渉チームについても、インターネットや、SNS、業界情報などから多岐にわたる入手が可能である。

(3)タスクフォース
 既述のように、タスクフォース体制は、今日のように複雑な利害が交錯した事業環境、あるいは交渉相手が多様な環境では極めて有用である。とくに説得段階では、時間的な制約が厳しく、限られた時間の間に、予想しない出来事が多く起きる(予見可能性が低い)。そのため、相当に訓練をつんだ交渉者であっても、予想外の失敗をすることになる。優秀なタスクフォース体制をとることができれば、これらの失敗を最小限に抑えることができる。

 これまでの交渉は、どちらかと言えばリーダーの力だけに依存することが多かったが、今日の交渉の複雑さ(事業・技術・リーガルなど多岐にわたる)の中、リーダーの重要性は変わらぬものの、さらにリーダーのもとに鍛えぬかれたタスクフォースを持つことが欠かせない。

 例えば、サムスンと世界中で戦っているアップルは、社内体制はこじんまりとしているものの、社外のパートナー代理人(法律事務所)と緊密な連携を行い、交渉(訴訟)チームを攻撃チーム、防衛チームに分け、それぞれにリーダーを置き、リーダーのもとには、強力な経験豊かな構成メンバーを置くタスクフォース体制を運営している。もちろんこれは大型係争の場合だが、より小さめの交渉であっても、たとえば、事業と知財部門の双方から、あるいは事業と技術部門などから、混成メンバーによるタスクフォースを作る例はよく見る。

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