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 また、全くスケールが違いますが、私自身も1つのメモリセルに複数のビットを蓄えることでフラッシュメモリを大容量化する多値技術を開発する時に、途中でプロジェクトが中止されるなど、新技術を開発する時には技術以外の多くの困難を克服しなければならないことを痛感しました。こうした経験を著書「世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記」(リンク先)に書いたところ、多くの技術者の方々から共感を頂きました。

 このように、イノベーションを起こす際に様々な非技術的な困難に直面することは決して特殊なことではありません。画期的な技術ほど、周囲の環境と折り合いをつけることが難しくなる方がむしろ普通なのかもしれません。

 さらに歴史をさかのぼってみましょう。フラッシュメモリはシリコン基板とゲート電極の間の絶縁膜中に作られた浮遊ゲートに電子を蓄えることでデータを記憶しています。このフラッシュメモリの原型とも言える浮遊ゲートセルは、フラッシュメモリ誕生のさらに20年近く前の1967年に米国ベル研究所のDawon Kahng博士とSimon Min Sze博士によって世界で初めて提案、動作確認されました。

 先週、シリコンバレーの中心に位置するサンタクララで開催されたフラッシュメモリとアプリケーションに関する会合Flash Memory Summitでは、浮遊ゲートセルの発明に対して、Sze博士にLifetime Achievement Awardが授与されました(リンク先)。Sze博士は半導体デバイスに関して数多くの業績を残し、Physics of Semiconductor Device(リンク先)という半導体デバイスのバイブルとも言うべき教科書を書かれたことでも有名です。