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HALで支え合う高齢化社会
図:CYBERDYNE Inc.

 こうした活用事例からもHALは医療と密接に結びついていることがわかる。実際、HALの開発は医療福祉現場との連携のもとで進められてきた。だが現時点では、日本の薬事法の分類ではHALは介護用品に分類され、HAL福祉用として展開されている。医療機器としての取り扱いを受けるには、厚生労働省が所管する独立行政法人・医薬品医療機器総合機構等で行われる承認審査や安全性・製造能力等に関する調査など所定の手続きを経たうえで、厚生労働大臣の承認を得なければならない。

 HALを医療機器として用いたい、との要望は医療現場からもあがっている。すでに、神経原性筋萎縮症の患者の下肢運動機能改善などにHALが医療機器として有用な働きを示すエビデンスを提供し、治験実施のための審査を受ける準備も行われている。

 HALを医療機器として用いる動きは、ヨーロッパでも進められている。ドイツでは一六州のなかで人口が最も多く人口密度も高いNRW州(ノルトライン・ヴェストファーレン州)最大規模の病院グループ(BGグループ)を中心としてHALの臨床試験に向けた準備のための活用(一日当たり五名程度の患者に適用)に関して連携している。スウェーデンではノーベル生理学・医学賞の選考委員会が設置されているカロリンスカ医科大学とのHAL利用に関する契約が結ばれ、医療現場での臨床試験が本年の初夏には始まることになっている。今後さらに国際的な認証機関やパートナー企業との連携を強化していく方針だ。

 いまではHALは教科書にも載っている有名なロボットだ。HALはこれで完成したのかとの質問をしばしば受ける。そのたびに山海教授は答える。「いえいえ、まだ完成したわけではありません。やっと社会のなかで育ち始めたところです」

 人や社会とともにHALはまだまだ進化する。