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 花王で「アタック」や「レイシャス」などの開発に携わった美崎栄一郎氏が、特定の商品がヒットした理由をひも解いていく連載「ヒットの謎解き」。雑誌『日経ものづくり』との連動企画で、Web版では雑誌に盛り込めなかったこぼれ話などを掲載していく。第9回のテーマは、超小型人工衛星「WNISAT-1」だ。気象情報サービスを手掛けるウェザーニューズ(本社東京)と、質量100kg以下の人工衛星を専門に開発するベンチャー企業のアクセルスペース(同)の両社が打ち上げに成功した、日本初の商用人工衛星である。

 WNISAT-1の特徴は、何と言ってもその小ささと打ち上げコストの安さにあるでしょう。同衛星は一辺が27cmの立方体で、質量はたったの10kg。北極海にある海氷の状況を観測するため、2013年11月、ロシアのヤースヌイ宇宙基地から打ち上げられました。一般的な人工衛星を打ち上げるのに数百億円のコストが掛かるといわれる中、WNISAT-1への投資額は開発費も含めて2億~3億円。従来の約1/100というから驚きです。

実際に見ると本当に小さい
実際に見ると本当に小さい
千葉市にあるウェザーニューズ本社で展示用のWNISAT-1と初対面。

 ところが同年5月16日、このWNISAT-1が思わぬ事態に陥っていることが発表されました。搭載していた一部機器が故障したため、海氷観測というミッションを果たせなくなったというのです。ウェザーニューズとアクセルスペースの衛星プロジェクトは大ピンチに! その後の顛末は、本連載の雑誌版(有料会員向けPDF購入)でご紹介した通りです(ミッションを海氷観測から「北極圏の地磁気観測」に変更した)。

 今回のWeb版では、こうした開発プロジェクトにおける「コスト削減」と「トラブル防止」との関係を見てゆくことにします。雑誌版には書き切れなかったのですが、実はWNISAT-1の故障には、コスト削減に向けた努力が密接に関わっていました。コスト削減は、どんな開発案件でも重要視されるテーマですので、ここで改めて取り上げたいと思います。