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スモールビジネスこそがイノベーションを生む

――その創発を保証するシステムが米国にはあるということですね。そして、それは技術や産業とリンクしています。

山口 それがブレイクスルーの技術を生み出すわけですよ。だけどその前に創発が不可欠です。まず創発をやって、それから先進技術に転化しようとする。それを小企業集団、ベンチャー企業で実現しようというやり方ですね。そういう仕組み自体が創発的です。かつて大企業がやっていた中央研究所の機能を、イノベーターが結集した小企業集団に任せるわけですから。

――科学的発見かイノベーションか、順番としてはどっちが生まれてくるか分からないわけですね。

山口 分からないです。

――分からないけれども、創発という知的な営みを通じて技術を生んでおけば、そこから新たな科学が生まれるかもしれない、というような発想ですね。蒸気機関という技術に基づいて、19世紀に熱力学や統計力学といった新たな科学が生まれたように。

山口 そうです。スモールビジネスこそがイノベーションを生む。その裏には、暗に大企業はイノベーションを生まないという考えが含まれています。このSBIRという言葉はそうした考えに基づいていますよね。1982年の時点でSBIRをつくった人たちはそう言い切ったわけです。これは、たいしたものだと思います。

――中央研究所モデルなき後、21世紀のイノベーション・モデルを見つけられないまま漂流している日本で、何とか同様の制度を始められないのでしょうか。