PR

 最近、将棋名人に勝つ将棋コンピューターなど、機械学習の威力が知られるようになり、機械学習の話題を聞かない日はないほど、同技術への関心が高まっているようです。この技術が進展すれば、やがて人間は機械に仕事を奪われる、という指摘も少なからず出てきています。

 実際、素人の私が、将棋名人に勝つ将棋コンピューターと対戦して勝てるとはとても思えません。そして、将棋ではなく、普通の仕事でコンピューターの“ライバル”が現れてきたらいったいどうするのかという疑問が湧くのは当然です。

 これに対して私がまず知りたいと思ったのは、人間にできて機械にできないことはあるか、という点です。コンピューターに勝つ、あるいは少なくとも共存するためには、コンピューターの弱点を知る必要があります。それが分かれば、とりあえず安心するというか、人間の努力すべき方向性が見えると思ったからです。技術的な観点からその点を知りたいと考えたのが、2014年9月15日号の日経エレクトロニクスの特集「人の代わりに脳型チップ」を執筆したそもそもの動機の一つでした。

ひらめきや直観もコンピューターで実現へ

 取材して記事を執筆後、安心できたかといえば、残念ながら否です。人工知能や脳型コンピューターの研究は、人間に追いつき追い越せとばかりに進んでおり、ある未来学者が指摘するように、ある時点で人間をはるかに超えていくかもしれないと感じるようになりました。

 ちなみに、記事では最新の脳型コンピューターや脳型チップの開発動向と共に、ひらめきや直観といったいわゆる「右脳型思考」といわれる機能をコンピューターに持たせようとする最新の研究について紹介しています。実は、当初の記事タイトル案は、「右脳コンピューティング」でした。

 ひらめきや直観は、これまでは人間ならではの能力だと見られてきました。少なくとも、既存のノイマン型コンピューターではできないか、できたとしてもシステムの規模や消費電力などの点で大変なコストがかかるからです。ところが、今後は人間の専売特許ではなくなりそうです。脳の神経細胞のネットワークを模したニューラルネットワーク、あるいはそれをハードウエア化した脳型チップの研究開発が急速に進んでいるからです。