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 圧倒的な強さを誇る存在は、常に批判と疑念にさらされる立場にある。その一方で、自ら存在感の大きさを誇ることはないが、その実、世界に大きな影響力を持った例も少なからずある。半導体の分野でも、こうした「控えめな支配者」が生まれている。

 マイクロプロセッサー・コアの分野で、今最も大きな影響力を持っていると言える企業が、英ARM社である。携帯電話、スマートフォンといった、特に21世紀に入ってから急伸した新市場で、寡占と言えるような圧倒的な強みを見せている。そして、これからの成長が期待されているIoT(Internet of Things)の分野では、これまでにも増して多くの機器に搭載されるチップのコアとして採用されると目されている。パソコン用マイクロプロセッサーの絶対王者である、あの米Intel社でさえ攻めあぐねる市場にスルリと入っていく。むしろ、タブレット端末やビッグデータを扱うデータセンターのサーバーなど、本来Intel社に分があると思われる市場を奪うようになった。今、半導体の分野で、仮になくなってしまうと世界中が困る企業No.1が、ARM社ではないか。

 ARM社の凄みは、時を経るほど応用分野が拡大し、搭載機器が増えても、チップのユーザーはこの状況を歓迎し、後押ししているように見えることだ。寡占状態がより深まっていっても、大きな警戒心を持たれることもない。SCR大喜利、今回のテーマは「控えめな支配者ARMの功罪」である。誰もがハッピーと考える状態に、好んで波風を立てようという意図はない。しかし、ARM社の影響力が増す一方の状況に、危うさがないのか、キッチリと再検証しようというのが今回の企画の狙いである。回答者に投げかけた質問は以下の3つ。

【質問1】
ARMコアは、なぜこれほどまで広く普及したのか?

【質問2】
多様な電子機器の中核が、ARMコアに統一されていくことによるメリット、デメリットは何か?

【質問3】
ARMコアの隆盛に終わりが訪れることがあるとすると、どのような切り口から影が落ちる可能性があるか?

 回答者は以下の通り。

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル
「日系メーカーが学ぶべき、ARM社のエコスステム構築」参照

清水洋治氏
某半導体メーカー
「煩わしさからの解放者ARMに凋落の影はない」参照

大山 聡氏
IHSテクノロジー
「ARMを主役に押し上げた通信機能、ここで先進性がなければ影が落ちる」参照

いち半導体部品ユーザー氏
某ICT関連企業
「知のネットワークを創出して席巻、不安は多様性の喪失」参照

表1●回答のまとめ
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