半導体の3次元化技術として、FinFET、3D-NANDに続いて、TSV(through silicon via)がついに実用フェーズに入った。その先陣を切って、韓国Samsung Electronics社が、TSVを用いた3次元積層DDR4型シンクロナスDRAMの量産を開始した。
半導体、そして半導体を搭載した全ての機器やシステムは、“Mooreの法則”が進化のペースを定量的に規定してきた。そのMooreの法則の継続が、微細加工技術の進歩だけを頼りにしていたのでは、いよいよ危うくなってきた。微細加工技術とは別の高集積化手法である3次元化技術、特にTSVは、新たな半導体の進化基軸として期待される。
TSVの実用化によって、半導体の集積度の向上に道が開いたことは確かだ。しかし、微細加工技術に代わってMooreの法則を支える重責を担うことができるのか。今回の「TSVの真価を量る」と題したテーマのSCR大喜利の狙いは、TSVの実用化によって期待できること、TSVが実用化したとしても期待できないことを、明確にすることだ。以下の3つの質問を回答者の方々に投げかけた。
【質問1】
TSVを用いた半導体の3次元化技術には、微細化に代わって“Mooreの法則”を継続させるポテンシャルがあるのか?
【質問2】
TSVを用いた3次元化技術の応用を拡大するための条件は何か?
【質問3】
TSVを用いた3次元化技術が実用化することで、どのようなビジネス・チャンスが新たに生まれるのか?
回答者は以下の通り。
和田木哲哉氏
野村證券
「応用拡大の条件は、特性を活かせる市場を足場にキャズムを乗り越えること」参照
田口眞男氏
慶應義塾大学
「TSVの潜在能力を生かすビジネス・モデルの案はある」参照
湯之上隆氏
微細加工研究所
「誰もが避けるジョーカー“ミドルエンド工程”、実は最も高付加価値」参照
服部毅氏
服部コンサルティングインターナショナル
「ハイエンド市場を足場にしてコスト削減を図れば未来が拓ける」参照
南川 明氏
IHSテクノロジー
「コスト高は最大の課題、だが微細化継続に比べれば安上がりだ」参照