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 「自動車メーカーにとって欠くべからざる存在になりたい。電子制御におけるデンソーのように」。今年春、本誌のインタビューで、CFRP(炭素繊維強化樹脂)事業の戦略を聞いた際、帝人 代表取締役社長執行役員CEOの鈴木純氏がこのような話をされました。

 このインタビューでとにかく印象に残ったのが、同社のCFRP事業への力の入れようと、同事業の先行きに関する鈴木社長の自信でした。この時以来、私の頭の片隅には常に、「CFRPをめぐり何かフェーズの変化が起こっている」との思いがありました。そんな中、鈴木社長のインタビューに同行した高田デスクから、「秋ごろにCFRPで特集を書きたい」との提案がありました。その後、編集会議での議論を通じて、今号、すなわち2014年10月号の特集1でCFRPを取り上げることになりました。

 取材を進めていたある日、意気揚々と引きあげてきた高田デスクが一言。「どうやらCFRPで大変な事が起きているようです」。その答えは、2014年10月号の特集1のタイトルに集約されています。そのタイトルは、「鉄並みに安くなる炭素繊維、CFRPが大衆車に搭載へ」です。一連の取材の結果、浮かび上がってきたのは、ここにきてCFRPをめぐる技術開発がにわかに活気付いており、CFRP部品の価格を鋼板製部品並みに下げ、大衆車に搭載することを目指した取り組みが急進展し始めたことです。

 最近になって、CFRPをめぐる技術開発が加速し始めたのには、あるきっかけがありました。世界で初めてCFRPを車体の主要骨格に採用した量産車が、2013年11月に欧州、2014年4月に日本でそれぞれ発売されたことです。ドイツBMW社の電気自動車「i3」です。i3の価格は499万円。これまでCFRPが主要構造部材に採用されたのは、価格が数千万円の、いわゆるスーパーカーであり、生産台数も極めて限られていました。これに対して、i3は既に1万台の受注がある量産車。つまり、CFRPは量産車に使える程、費用対効果が高まったのです。そして、この状況を目の当たりにした炭素繊維メーカーや自動車メーカーが目の色を変えて技術開発に取り組み始め、現在に至るというわけです。今回の特集1では、現在のCFRPの先端技術開発の動向、およびその使いこなしの最前線を徹底取材して掲載しました。これまで世界のメディアでもほとんど報じられていない、BMW社によるi3製造の中身にも踏み込んでいます。読者の皆様のご期待に違わぬ内容に仕上がったと自負しております。

 今号でもう1つご紹介したいのが、特集2「ダイキン工業が国内外工場の従業員を早期に育成できる秘密」です。ダイキン工業は近年、売上高の成長が著しい企業ですが、とりわけ主力の空調事業の売上高は、2009年度の約9000億円から2013年度に約1兆6000億円に増え、2014年度はさらに伸びて1兆8000億円弱を見込んでいます。同社のこうした成長の根幹を支えるのが、国内外の工場で働く従業員です。同社は、作業者をいち早く「できる人材」にして生産現場に送り、多能工に育て上げています。そして、この仕組みを海外の工場にも展開し、着実に成果を上げています。なぜ、それが可能なのか、近岡デスクがその秘密に迫りました。どうぞご期待ください。