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 ところで、ラジエーターのような部品を単独でモジュール化しても、自動車の基本設計段階で採用するようにしなければ、なかなか採用率が上がらない。そのため、基本設計段階でラジエーターなどの冷却システム部品を採用する「自動車用冷却システムの設計スキーム」を考えた。これこそがフロントローディングといえる。

自動車用冷却システムの設計スキーム
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 図の中央の「エンジンルーム・レイアウト標準」は、前述のエンジンルーム・レイアウト標準化活動で標準化したものをイメージしていた。しかし、エンジンルーム・レイアウトの標準化が頓挫したので、この活動も最上流の「自動車冷却性シミュレーション」を作るところまでしか進められなかった。

<居住室内のモジュール化(SMART基準の是正)>

 部品メーカーからも部品共通化のアイデアを募ろうとシートメーカーを訪問した時、先方の営業担当から次のような提案を受けた。「室内部品を共通化しようにも、今のように居住室内をモデルごとにバラバラに設計していては難しいです。人間には標準体型があるのだから、それを基に居住室内を設計すれば、一定の共通仕様になると思います」。

 さらにこんなことも言われた。「部品メーカーとしては、共通化してほしくないのが本音です。部品を共通化すると、毎年値下げしなくてはならないので利幅が下がる。モデルチェンジを機会に値上げしたいのです」。