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 中村修二さんのようなスターエンジニアは日本よりもリターンが大きい米国で働く方が合理的。ノーベル賞受賞者としては、古くは江崎玲於奈さんもソニーに在籍していた時の仕事(江崎ダイオード)でノーベル賞を受賞されましたが、受賞時の所属は米国のIBMでした。中村修二さんや江崎玲於奈さんのようなスターエンジニアが米国に移籍するのは、プロ野球の田中将大選手が日本の東北楽天ゴールデンイーグルスから米国のニューヨークヤンキースに移籍するようなものかもしれません。

 こうした米国など海外への移籍は以前はごく一部のスターエンジニアに限られていました。ところが最近は、それだけに留まらないと感じています。私の身のまわりでも、中村修二さんのように広く社会に知られた有名人ではないけれども、業界では著名なエンジニアの海外企業への移籍が続いています。移籍は企業が傾いてきた時、リストラ時というよりも、担当する事業が好調で企業の屋台骨を支えるような時です。

 事業が絶好調ということは、日本企業の中でもエンジニアは比較的大切に扱われるでしょう。その一方、好調時こそ外部の企業から最も高く評価され、引き抜きのオファーが来ます。日本企業が強みを持つ事業でも、エンジニアが海外のライバル企業に引き抜かれ、移籍先で事業を立ち上げるというケースが見られるようになりました。

 以前の日本の大企業の従業員は企業が好調時に海外企業に移ることは「リスク」だと考えていました。エンジニアはよほどの事がない限り、日本企業に留まりました。終身雇用が保証される日本企業を辞めて、なぜいつでもクビになる可能性がある海外企業に移籍するのか。

 しかし、そうした事情も変わりました。日本企業に居ることが、以前のローリスク・ローリターンからハイリスク・ローリターンに変わってしまったのです。中村修二さんのようなスターエンジニアはさておき、日本のエンジニアが積極的に海外に飛び出すようになった根源的な理由は、技術や産業の変化がすさまじく速くなってしまったこと。