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 「たった4年でここまで変わるのか」。2014年9月に日経ビジネス9月29日号特集「イーロン・マスク テスラの先に抱く野望」の取材で米シリコンバレーに出張しました。電気自動車(EV)ベンチャーの米Tesla Motors社を訪問して、驚いたのはその変貌ぶりです。2010年に同社の本社と工場を訪れた際には、小規模な組み立てラインで同社の初代EV「Tesla Roadster」を細々と生産していました。

 しかし現在の工場は巨大で、敷地面積は東京ドーム33個分の158万m2にも達します。この工場は、かつて米General Motors社とトヨタ自動車の合弁工場で「NUMMI」と呼ばれ、ピーク時には年間50万台近くを生産していました。2008年秋のリーマンショック後の景気低迷を受けて、いったん閉鎖された工場をTesla社が買い取ったのです。 Tesla社は2014年に3万5000台のEVを生産する計画で、2015年中に生産能力を年間10万台に引き上げる予定です。工場内では高級セダンの「Model S」の生産能力拡大と同時並行で、2015年に発売を予定するSUV(多目的スポーツ車)の「Model X」の生産ラインの立ち上げも始まっていました。

 「2020年に年間50万台を生産するEVメーカーを目指す」。同社CEO(最高経営責任者)であるElon Musk氏の野望は壮大です。切り札として期待するのが、2017年頃の発売を予定する3万5000米ドル程度の小型セダンのEV「Model 3」です。心臓部の電池のコストを大幅に引き下げるために、パナソニックなどと組み、巨大な電池工場「ギガファクトリー」の建設も進めています。規模のメリット、物流の効率化、安価な電気料金などを活用して、電池コストを3割程度引き下げる計画です。