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 「女性活用」という言葉が、あちこちで聞かれるようになりました。中でも安倍首相が打ち出した「役職に就く女性の割合を2020年までに3割にする」との目標は極めてアグレッシブであり、実現すれば社会の在り方が大きく変わる可能性があります。

 では、製造業での女性活用の実態はどうでしょうか。日経ものづくりが2014年秋に製造業関係者を対象に実施した調査(回答数342)によると、技術系職場に女性技術者が「全くいない」という回答が全体の3割弱、「1割前後(いる)」が4割強でした。両者を合計すると全体の7割に上ることが明らかになりました。釈迦に説法ですが、商品を開発して製造し、ユーザーの手元に届けるまでの一連の「ものづくりプロセス」には、メーカー内のさまざまな部署が関わっています。商品企画を担当する「商品企画部」はもちろん、そこで企画された商品コンセプトを物の形に落とし込む「設計部門」、その設計を具現化する「製造部門」、販売店などに売り込む「営業部門」などです。調査結果はこのうち、設計部門や、製造部門の生産技術といった技術系の職場で女性の進出が大幅に遅れていることを意味しています。現状を見る限り、冒頭の安倍首相による目標との間に大きなギャップがあるのは確かでしょう。政府には、製造業に向けたさらなる施策を期待したいところです。

 もっとも、こうした状況を変えようと、技術系の職場における女性活用で他社より先んじた動きをするメーカーも出始めました。例えば、パナソニックや日産自動車は、女性技術者の数を増やす一方で、業務権限をも広げ、これまでよりも責任ある業務を任せて革新的な製品をいち早く生み出すことを目指し始めています。いわば、革新の原動力として女性技術者に活躍してもらおうという取り組みです。詳細は、日経ものづくりの2014年11月号の特集1「女性エンジニアを革新の原動力に」で紹介しています。女性エンジニアが活躍するためには、技術系職場の大半を占める男性エンジニアの理解が欠かせません。そこで、この特集では、女性エンジニアによる覆面座談会や、社会心理学者が伝授する「今すぐ使えるコミュニケーション術」なども掲載し、技術系の職場で、男性エンジニアと女性エンジニアが力を合わせて、よりよいシナジーを出せるようになるための情報を提供するよう努めました。担当した池松由香記者による渾身の力作です。

 2014年11月号では、このほか、グローバル市場での最新の動きをお伝えする特集を2本用意しました。1つは、2014年9月に米国シカゴで開催された米国工作機械見本市「International Manufacturing Technology Show 2014(IMTS2014)」の詳報記事です。この展示会で際立ったのは、日本メーカーの技術力です。欧州メーカーはさほど存在感を示せず、台湾と韓国メーカーは技術的に日本メーカーの後追いの状況でした。本特集記事では、取材で渡米した近岡デスクが、来場者の注目を集めた技術および製品を紹介します。

 もう1つは、ホンダによる最新インド工場を現地取材した特集3です。ホンダは、成長市場のインドで、乗用車シェアを急拡大させています。2012年に2~3%台だった同国内での同社の乗用車シェアは、2013年には6%近くにまで上昇しました。同国での販売台数は2013年に10万台/年に達し、2014年は2倍となる20万台/年を目指しています。その供給力を支えるのが、ラジャスタン州に建設した新工場です。吉田デスクが工場の内部も含めて取材した結果、見えてきたのは、人と設備の最適バランスを追求することで、強い工場を目指すホンダの工場戦略です。詳細は本特集3をご覧ください。どうぞよろしくお願いいたします。