今回のSCR大喜利では、「ビッグデータの棲家は半導体に何を求めるのか」と題し、なかなか動きが見えにくいデータセンター向け半導体をどのように考えていったらよいのか探っている。今回の回答者はアーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。
アーサー・D・リトル(ジャパン) マネジャー

【質問1の回答】メーカーでなく“ユーザー企業自身”という未来もありうる
デバイスだけを見れば、データセンター向けビジネスが高成長事業となっているIntel社、サーバー向け半導体以外ではパワーマネジメント分野におけるInfineon Technologies社など、データセンター領域を成長機会と見込む半導体デバイス・メーカーは多い。
しかし、業界構造全体を俯瞰した際に起こっている大きな変局は、デバイス・メーカーの取り組みではなく、むしろユーザーとベンダーの境界線そのものの変化にある。金融におけるHFT(High frequency trading)などの分野ですでに起こっていることであるが、FPGA(field programmable gate array)をベースにしてユーザー自身が回路設計をするインハウス開発の流れが、業界としての役割定義や付加価値構造そのものを変えつつある。
もはや、“半導体業界の中”での勝ち組や生き残りを議論する時代ではなく、ユーザーまでを含めた“産業バリューチェーン全体の中”での価値の取り方を議論すべき時代になっているように思える。