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 「我々はこれまで、モノばかりを見ていた。これからはコトづくりにも目を向けたい」。ある参加者の何気ない一言に、開発の取りまとめ役である多喜義彦氏が“我が意を得たり”とばかりに反応した。

「普通はコトづくりの重要性に気付かないのです。なぜそこに気付いたのですか」

「今年になって会長と社長が言うようになりました。確かに、我々は現場から一歩離れたところにいるので、ニーズが直接耳に入ってきません。このドラッガーではビジネスへの関わり方も含めて変えていきたいのです」

 2014年9月17日、東京・新橋の会議室で全自動調剤監査システム「ドラッガー」のワークショップが開催された。この発言は、ワークショップに参加した包装材料メーカーの研究者のものである。まさにドラッガーという開発テーマの本質を突いた発言だった。

 ドラッガーは、調剤薬局で薬剤師が手作業でしている業務を自動化するためのシステムである。これが実現すれば、薬剤師をルーチンワークから解放し、薬事相談などの付加価値が高い業務に専念できるようになるだろう。深刻な薬剤師不足に悩む薬局経営者も、サービス向上や業務効率化が期待できるドラッガーに魅力を感じるはずだ。

 しかし、単純にモノを作ればいいわけではない。それだけなら、既存のメーカーが単独で開発すれば済む話だ。このようなシステムが普及した暁に、調剤薬局業界はどう変化し、ドラッガーではどのように収益を上げられる可能性があるのか。もしかしたら、システム自体は無料で配ったとしても、違うところで収益を確保できるかもしれない。そういったビジネスモデルまで議論することに、リアル開発会議というオープンな場で開発する意義がある。だからこそ、多喜氏はコトづくりという言葉に反応したのだ。

 ビジネスモデルの変革という点では、医療系の開発テーマにもかかわらず、自動車部品メーカーからの参加者がいたことも象徴的だった。この部品メーカーでは、従来は納品先の自動車メーカーが言う通りにモノを作っていたが、最近は「自分たちで考えなさい」と言われるようになった。そこで自社の技術が生かせるのではないかと考えて、参加を決めたという。