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 「今までにありそうでなかった製品だ」。セイコークロックのリニアアクチュエーターを見た人の多くは、こう口にするという。1センチメートルほどの長さを伸びたり縮んだりする、このリニアアクチュエーターは、わずか親指大の大きさながら、指で押さえ付けておけないほど強力なパワーを発揮する。しかも、乾電池一つの電力で動くという優れものだ。これらの点が評価され、集合住宅向けメールボックスの電子錠に採用された。現在主流の電子錠よりも小さくできるし、動作音も静かだ。

 電子錠は、セイコークロックが当初から想定していた用途だった。ここまでは狙い通り。ところが、想定外の業界からの問い合わせやサンプル提供依頼が増え、こう考えるようになった。「これって、他にも使えるのではないか」と…。

ん? それって他にも使えますよね?
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 そもそも、このリニアアクチュエーターの駆動源となる減速機付きのモーターの開発からして、必ずしも順風満帆ではなかった。「折り畳み式携帯電話機の開閉機構に使いたい」。あるメーカーからの打診を受けて開発を始めたのが2006年ごろ。程なくしてやってきた「スマホブーム」で、折り畳み式携帯電話機の話はあっという間に立ち消えた。その後、このモーターを使ったポンプを2012年に製品化し、2014年にはリニアアクチュエーターもラインアップに加えたところ、徐々に反響を呼び始めた。

 モノには自信がある。モーターや減速機を開発するに当たり、歴史ある時計事業の技術やノウハウを惜しみなく投入した。もっと大きくてもよければ、性能の良いモーターやリニアアクチュエーターは他にいくらでも存在する。しかし、この大きさと性能の絶妙なバランスこそが「ありそうでなかった」と評価されるゆえんだ。