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 1~2カ月前というと、フォックスコンが成都への投資を取りやめ、高雄や鄭州に変更するとの観測が出始めたころと一致する。LTPSパネルのiPhoneへの供給を目指すフォックスコンとしては、iPhoneの主力工場である鄭州に設立したいのはやまやま。しかし、中国系のパネル業者を育成したいという中国政府の意向で、鄭州に設立するのが難しそうだとの感触を得ていたところに追い討ちをかけるように2014年11月10日に中韓FTA実質妥結の結果を受け鄭州から高雄への設立を最終決定した、というところなのではないか。「もし私が外資企業なら台湾には投資しない」という発言は、郭氏が言うところの、インタビュアーによる巧みな誘導に、無念さから思わず本音がポロリと出てしまったことも考えられる。

 さらに、フォックスコンがLTPS工場を四川省成都に設立するとの観測が出た2012年は、経営危機に陥ったシャープとフォックスコンの提携交渉が浮上した年。両社の提携は結局、大型テレビ用パネルを製造するシャープ堺工場(現堺ディスプレイプロダクト)に郭氏個人が出資するにとどまり、郭氏が最も望んでいたとされるシャープ本体への出資交渉はまとまらずに終わった。ジャパンディスプレイやLG Display社同様、シャープもiPhoneにパネルを供給していることで知られるが、郭氏はシャープ本体への出資で同社の持つ中小型パネルの技術を押さえたかったのだと言われる。成都のLTPS工場の計画が思い通りに進まなかった背景には、中国政府の意向や資金集めに加え、シャープの技術導入が見込めなくなったことも影響したのではないか――。二転三転したLTPSパネル工場設立を巡る一連の動きには、想像をたくましくさせる要素が満載だ。いずれにせよ、2016年の量産を予定するフォックスコンの高雄LTPS工場が、iPhoneや中国Xiaomi社(小米科技)へのパネル供給で日本勢の脅威になる日が来るのか。今後の行方を注目していきたい。