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 2年前に、「Tech-On!」(日経テクノロジーオンラインの前身)の別のコラム「イノベーション中国発?!」において、「弁当、プレゼン資料、携帯電話機の共通点」というタイトルの記事を書いたことがある。弁当やプレゼン資料の作り方から、日本/米国/中国の人々の思考回路の違いを考察した上で、その違いは実際の商品機能設計においても反映されていると分析した。今回は、先日、京都のあるBento(弁当)箱専門店に行ったことをきっかけに、筆者が改めて弁当文化について考えたことや再発見したことを紹介したい。

弁当と思考回路

 筆者は、日本や米国、中国は、それぞれに弁当の作り方が異なっているように、携帯電話の開発や、一般の商品開発の際の思考回路についても異なっていると考えている(表1)。

表1●日米中における弁当の作り方、携帯電話の開発、商品開発思考回路の違い
日米中における弁当の作り方、携帯電話の開発、商品開発思考回路の違い

 携帯電話機など日本製の電気製品において、しばしば見受けられるのが「機能の詰め込み」だ。これは、ハードウエアを中心とする高機能/高性能を追求したものであり、必ずしも機能の論理的な展開が十分になされたものとは言いにくい。それに対して、欧米はトータルデザインを重視し、その延長線としてハードウエアとソフトウエアの両方を重視する。故に、電気製品はパソコン化して、パソコンを超えない電話機能のある「BlackBerry」や、世界を席巻しているスマートフォンが生み出され、携帯電話機市場におけるイノベーションを巻き起こしたのではないだろうか。

 一方、中国発の「山寨携帯」(中国語で模倣携帯電話のこと)は2009年ごろ、「模倣」を中心とするさまざまな手段によって市場のニーズを押さえつつ、いち早く市場に投入された。安さとスピードで、新興国市場で成功を収めたのだ。弁当の作り方と携帯電話の思考回路は実に似ていると考えている。

 近年、スマートフォンはフィーチャーフォンともいわれる従来型の携帯電話と置き換わるように、急速に発展している。その中で、上記の思考回路はどのように働いたのだろうか。

 筆者は先月、友人の紹介で弁当箱専門店「Bento&co」を訪れた。そこで、弁当がBentoへと進化していたことを知り、驚きを隠せなかった。そして、そこから「この2年間のスマートフォン市場の激変も、弁当型の思考回路の延長ではないか」という気づきを与えられた。