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 しかし、重ねて言いますが、こういった講義はインプットがあった後にあるべきです。大学では4年生を対象にしていますが、「世の中は経営とかマーケティングなどもあるよ」と簡単に触れる程度にとどめています。講義では、将来、仕事をする時には課題解決力が大切であることを伝えつつ、それでも学生のうちは、学生の時しかできない基礎力をつけて欲しいと言っています。

 インプットが足りない学生にアウトプットを求めるのは本末転倒だからです。むしろエンジニアリングデザインは社会人を対象にした講義にすべきとさえも思っています。大学などで学ぶ必要の無い人、Steve JobsやMark Zuckerbergのように大学中退でAppleやFacebookを創業するような人ももちろん居ます。

 ごくごくまれに居る天才ならば、即、アウトプットでも良いでしょうが、大半の普通の人はまず基礎のインプットが必要でしょう。似たようなケースで、大学生のボランティア活動やインターン重視というのもどうかと思っています。生活費を稼ぐためなら仕方ないですし、多様な経験のためには良いのですが、インプットを怠ってしまうともったいない。

 インプットできるのは学生の間だけ。インターンやボランティアが忙しいから勉強する時間が無い、という話も聞きますが、本末転倒していると感じます。働く先が教育をしっかりしてくれれば良いのでしょうが、「ただで働いてくれるアルバイト待遇」では中途半端な職務経験ができるだけで、成長にはつながりません。

 私自身については、アウトプットし続けなければいけない年齢・立場なのでしょうが、まだまだインプットが不足していると痛感しています。ITの技術についても、「課題を解決する」には、一つの分野だけでは不十分。ハード、ソフトからサービスまで幅広く理解していることが不可欠。つまり一つの領域の専門家ではだめなのです。インプットのための時間を作るために、学会や人と合うことを年々控えるようになり、年末も忘年会に参加することも少なくなりました。

 IoT(Internet of Things)、CPS(Cyber Physical System)とも言われるように、モノとインターネットが融合する時代には業種の壁が崩れていきます。ネットに情報があふれている時代でも、情報を取捨選択して使いこなすのはあくまでも人間です。だからこそ、アウトプットの前にインプット。学び続け、変わり続ける人や企業だけが生き残るのではないでしょうか。