世界基準のプロジェクトファイナンス

 しかし、「風力発電事業への融資は本来のプロジェクトファイナンスではなく、コーポレートファイナンスの要素が残る」という金融関係者は多い。実は、プロジェクトファイナンスは、事業そのものに融資するといっても、事業に出資する企業(スポンサー)は、「スポンサーサポート契約」という形で、事業主体であるSPCへの資金的な支援を約束することが多い。プロジェクトファイナンスの組成に際し、手厚いスポンサーサポート契約を条件にすると、実体としてコーポレートファイナンスに近づく。

 プロジェクトファイナンスの詳しい契約内容は公開されないものの、国内の風力発電事業で大手企業やそのグループ企業のシェアが圧倒的に高いのは、風力発電事業のプロジェクトファイナンスでは、大手企業のスポンサーサポート契約が必須になっていることを物語る。「風力発電事業は本来のプロジェクトファイナンスではない」というのは、これを指している。

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって、メガソーラーの建設が始まり、出力が10MWを超えるプロジェクトではプロジェクトファイナンスを組成するケースも増えている。だが、SPCには商社など信用力の高い大手企業が出資することが多く、太陽光パネルに国産大手メーカーを指定して保証を求めるなど、事業性以外に企業の信用力に依存している面が大きい。

 そんななかで、「瀬戸内メガソーラープロジェクト」は230MWに約900億円の融資という規模とともに、SPCの出資構成が、米GEエナジー・フィナンシャルサービス60%、東洋エンジニアリング30%、くにうみアセットマネジメント(東京都千代田区)10%となった。このため、「プロジェクトファイナンスは世界基準で進められた」(出資企業の幹部)。

 米国の大手法律事務所のオリック・ヘリントン・アンド・サトクリフが、法的助言を担当し、契約書などすべてを世界基準の考え方を適用し、英語でやり取りしたという。プロジェクトファイナンスの幹事銀行の中でも、三菱東京UFJ銀行がリードし、EPC(設計・調達・施工)サービスを、エンジニアリング大手の東洋エンジニアリングが務めた。いずれも海外でのプロジェクトファイナンスの経験が豊富な企業だ。