――かなり根深い問題のように思えてきました。この問題を解決するには、どうすればいいのでしょうか。

田子裕子氏
たご・ひろこ●エムテド取締役。オフィス家具メーカーにて次世代オフィス研究に携わった後、大学研究室に在籍し、フリーランス活動を開始。現在は育児と仕事を両立しながら、生活者としての鋭い意見によってコンセプトメークする役割を担う。女子美術大学デザイン・工芸学科非常勤講師。(写真:栗原克己)

田子裕子:最初から計画通りに進む新規事業はありません。たとえ失敗しても、そこからきちんと学んでいれば、次は成功できるかもしれないわけです。だから、ある程度の覚悟を持って前に踏み出してみることが大事なのだと思います。

 プロジェクトの進め方やそれに関わる人の評価については、既存事業と違う“物差し”が必要です。それは、失敗や成功を経験しながら自分たちで少しずつ作っていかなければなりません。

――「1事業で1000億円」もそうですが、既存事業の物差しを新規事業に当てはめようとするのがよくないのですね。

田子裕子:そういう意味では、会社が新規事業をどう評価すればいいのか分かっていないという面があります。

橋口:そうですね。既存事業と新規事業を同じ物差しで計るのはナンセンスです。例えば、会社の取締役だったら、善管注意義務(善良な管理者の注意義務)があるので、リスクをコントロールしなければなりません。しかし、リスクを潰すことは大事ですが、新規事業では「いける」と思ったときに不確実性の中を突き進まなければチャンスを逃してしまうかもしれません。やはり、既存事業とは切り分ける必要があります。

田子學:いろいろな人に話を聞いていると、人事評価が古いという意見は多いです。今の人事評価は既存事業を意識したものですから。