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 国崎信江氏は、全く土地勘のなかった防災の分野でスペシャリストとしての地位を確立した。現在は、防災の研究に取り組むとともに、さまざまな行政機関や地方自治体のアドバイザーも務める。

 ゼロからのスタートだった国崎氏の武器は、「生活者の視点」である。自身の素朴な疑問を起点に“常識”の盲点を次々と突いていき、賛同者を増やしていった。おかしいと思ったことを正面から指摘。それを伝え続けることが仲間の輪を広げ、世の中を動かすムーブメントにつながった。率直なスタイルで、新しい防災の在り方を生み出そうとしている。(リアル開発会議)
国崎信江氏
危機管理教育研究所 代表/危機管理アドバイザー(写真:加藤 康)
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 自分がおかしいと思ったことについては、しっかりと指摘する。1度だけではない。2度、3度、いや理解してもらえるまで何度でも伝える。もちろん、言うだけではダメである。自分が正しいと考えたことについては、積極的に手を動かすべきだ。何かを実現するために文章を書いて発信したり、実際にモノを作ったりする行動も必要である。形にしてみせることで、自分の理念に賛同してくれる人が集まり、物事が実現に向けて動き出す。

 これは、危機管理アドバイザーである私が周囲を巻き込むために心懸けていることだ。防災は、人の命に関わる取り組みである。どんなに優れた対策であっても、賛同者を集めて広めなければ、絵に描いた餅にすぎない。これは、他の分野でも同じだろう。これまでの活動で、そのことを身に染みて感じてきた。

 1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、私は防災の研究を始めた。“研究”といっても、当初は「災害から自分や家族の身を守るには、どうすればいいのか」が知りたくて、一人の生活者として防災に関心を持ったという程度にすぎない。だが、調べていくうちに、防災の常識と、日常生活の現実の間には大きなギャップがあることに気づいた。