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「製販ドリブン」というキーワードの真意

 医療機器産業への参入、あるいは参入後の経営戦略を模索する場合、先ずはオーソドックスな開発ルールに基づいているかどうか、という観点からのチェックが必要だ。起点は、ものづくり企業と医療機関との連携はいかにあるべきかという誰でもが抱える課題にある。医療機器開発の「いろは」といっていいだろう。

 柏野氏が本書の中で訴えるキーワードに「製販ドリブン」という基本方針がある。これこそが前述の「帰納法的論理」から導き出された最少公倍数であり、参入を目指す企業への「回答」といえる。

 これまで、日本のものづくり企業が医療機器事業を始める際、自社の持つシーズが医療側からのニーズにどう応えるかが主要課題とされていた。だが、本書の主題は、この仲立ちとなる「医療機器専門企業」つまり医療機器製造販売業を持つ企業が重要な役割を果たすべきであり、この“製販企業”こそ医療機器産業の中心となるべきだと訴えている。

 いくら優勝な部材メーカであろうと、精密な加工を得意とする会社であろうと、単独で医療側の需要をうのみにするようでは医療機器としての基本要件を具備しえない。本格的な医療機器開発は、プロの目を持った企業による「医療機器としての特性」を備えた商品企画が必要とされる。だから、医療機器産業へのスムーズな入り方として、事業化へのノウハウを修得している製販企業とのマッチングが重要なのである。

 もちろん、ここで結論付けられた基本的な考え方が、すべての企業、すべてのテーマに当てはまる絶対無二の公式ではない。しかしながら、この「製版ドリブン」方式は、ものづくりからの参入企業にとっての最低限の目標値を示してくれる。これから船出する企業が当てもない航海に出るような危険性を避け、目指すべき方向性を示してくれる点で価値がある。