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 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)の車名は「MIRAI(ミライ)」。「クルマの未来、地球の未来への思いが込められている」(同社代表取締役副社長の加藤光久氏)。あえて日本語を採用しことも注目だが、何よりあまりの“直球勝負”にハッとする。その車名はいかに決まったのか? MIRAIの開発責任者で、トヨタ自動車製品企画本部ZF主査の田中義和氏に聞いた。

ギリギリまでMIRAIではなかった

――MIRAIという車名とても大胆な名前ですね。

トヨタ自動車社長の豊田章男氏
2014年11月1日、愛知県新城市で開催された「全日本ラリー選手権第9戦」で、先導車に使われるMIRAIのハンドルを自ら握り、コースの一部を走行してみせた。その際に同車について「地球に優しいクルマ社会の未来に向けた第1歩。長い道のりになるが、このクルマと一緒に歩きたい」とコメントした。

田中: 確かにそうですね。腹くくって付けたものです。

 実は、ギリギリまで違う車名が付いていました。車名は最終的には社長が決裁します。その違う名前を承認する際、豊田章男社長がサインをしながら「本当にこれでいいのかな」と漏らした。それで、現場の方でもう一度練り直そうということになりました。

 最後のアイデアを10個ぐらいに絞って車名を決める会議を再度開催したのです。その議論には豊田社長も参加しました。いろいろ議論がありましたが、だんだんとMIRAIがいいんじゃないかと。豊田社長もMIRAIを推しました。

――2014年11月のMIRAIの発表会で、加藤副社長は「例えば『FUTURE』ではしっくりきません。トヨタ生産方式でカイゼンという日本語が世界に広まりました。それを狙うわけではありませんが、日本発の商品として、MIRAIという日本語の車名のクルマを誇りを持って世界に広げていきたい」と語っています。

田中: その会議には米国事業や欧州事業の責任者も参加していましたが、彼らも賛成でした。社長をはじめとした経営陣の思いが強く込められた車名なんです。

――豊田社長は、ラリーでもMIRAIをアピールしました。2014年11月1日、愛知県新城市で開催された「全日本ラリー選手権第9戦(新城ラリー2014)」で、先導車に使われるMIRAIのハンドルを自ら握り、コースの一部を走りました。

田中: FCVは新しい技術なので、信頼性や水素の安全性に不安を持つ人もいます。そんな中、社長自らがFCVに乗って運転することは大きなアピールになります。『章男さんはMIRAIのことをいろいろ考えてくれているんだ』。技術者たちは、みんなそう思いました。