大手エレクトロニクス・メーカーを辞めた(家出をした=やさぐれた)2人のおじさんたちによる「やさぐれ放談」の第2回。瀬川秀樹氏は半年ほど前、長岐祐宏氏は1年ほど前に、それぞれ長年務めた会社を辞して独立した。前回は、2人が大手企業で過ごしてきたサラリーマン生活や、大手企業から新規事業が生まれなくなっている背景などが話題に。今回は、会社を辞めた理由、辞めたから見えてきた風景など、より本質的なテーマに入っていく。2人に共通する「会社を辞め、独立して一番よかったこと」は、果たして何だったのか。

瀬川 長岐さんが会社を辞めたのは1年半くらい前だっけ?

長岐 そうですね。去年(2013年、対談は2014年11月に行った)の10月なので1年ちょいくらい。

瀬川  そうか。僕は9月末だから、まだ2カ月もたってない。だから、長岐さんは会社を辞めた先輩だね。

長岐 祐宏(ながき・ゆうこう)
1989年4月にセイコーエプソンの販売子会社であるエプソン販売に入社。約11年間、営業や技術、サポートの販売現場経験を得る。米DEC社との共同プロジェクトに参加し、ネットワーク技術の資格を取得。2000年からセイコーエプソンでプリンタ事業部、デバイス事業部、新規事業開発本部、システム事業部、開発本部の複数部門を経験。主に、新規商品の開発企画や事業企画を軸に活動する。特に2006年以降は他社と連携した大型新規プロジェクト(小型プリンターや小型プロジェクター、ハイビジョンビューワーなど)をリーダーとして取りまとめる。人事部を経験後、2013年11月に退職。他社のビジネスアドバイザーを行い、2014年10月にビジネスの新しいビジョン開発や、プロデュースを手掛ける「MARCURY VISION」を設立、代表を務める。
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長岐 え? 去年(2013年)でしょ?

瀬川  いやいや、違うって。今年(2014年)。

長岐 今年(同)?

瀬川 もうずっと前から辞めているような雰囲気はあったかもしれないけど、辞めてないですよ。だからね、長岐さんは大先輩なのよ。今日は大先輩の苦労話を聞いてやろうと思ってさ(笑)。

長岐 辞めて1年間は、まだ生活が保全されているから。今のところ、新しい仕事で儲けるという感じではないですけど。

瀬川 そうだよね。僕も嫁さんに「1年は儲からないよ。その後にどうなるかは分からないけど」と言ってあるんだ。「サラリーマンにしがみついていれば65歳までは会社にいられるかもしれないけど、それよりはトータルで儲けてやる」と、根拠のない宣言だけはしてあります。

長岐 会社を辞めて、自分で会社を作って、まず強力に感じたことがあって。世の中には世界がもう一つあるなと。サラリーマンの世界と、サラリーマンではない世界。アナザーワールドですよ。自分はこれまで、サラリーマンではない世界の勉強を全くしていなかったのだなと痛感しましたね。

瀬川 具体的には?

長岐 アナザーワールドですよ。

瀬川 どんな世界に行ったんだよ(笑)。

長岐 当たり前ですけど、会社を出たら相手が見るのは「自分」ですよね。

瀬川 個人の信用ね。会社のブランドではなく。