岐阜県北部の山中、白川郷(岐阜県大野郡白川村)や五箇山(富山県南砺市)など、飛騨地域の集落に合掌造り(がっしょうづくり)と呼ばれる古民家がある。

 合掌造りという名称の由来は、掌を合わせて合掌しているように見える三角形の屋根の形状と、その骨格構造の丸太組みを「合掌」と呼ぶことから来ているらしい。

 その屋根の急勾配は、豪雪による雪下ろしの作業を軽減するためでもあるし、水はけを良くするためとも言われ、大きな合掌造り家屋の中では、家内工業として和紙を漉(す)いたり、養蚕(ようさん・蚕を飼育して絹糸を生産)が行なわれていたという。

 それは、明治時代以降も継続され、特に、養蚕業が盛んになるに連れ、家屋の大型化を促したのである。

 その合掌造りの屋根の葺き替えは、およそ20年から30年ごとに行うとのことであるが、その費用を工務店などの業者に頼むと、少なく見積もっても3000万円は掛かるということだ。しかし、この地域の人達は、その費用を一切払わずに葺き替えているということを知って、私は大いに驚いた。

 この地域の人達は「結講(ゆいこう)」という、一種の協同組合的な組織をつくって、順番に屋根の葺き替えを、お互いの労働奉仕によって無料で施工しているのだという。