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 「ムーアの法則の限界」が問われる中、これまで技術者の新たな発想による技術革新が、その壁を次々と乗り越えるのを私たちは目にしてきました。位相シフト、OPC(optical proximity correction:光近接効果補正)、ダブルパターニング、液浸露光など、新たに登場したプロセス技術により、限界はその先へと押し返されてきました。

 しかしご承知のように、こうした革新的技術によりデバイスの製造は複雑化し、ここにきて大きな影を半導体産業に投げかけています。SEMIは大きな転機が2009年にあったと考えていますが、今回のレポートではその影響を具体的に示す3つのトレンドを紹介します。

乖離(かいり)する設備投資と半導体生産能力増加率

 半導体産業の設備投資には、生産能力拡大のための投資と微細化など技術アップグレードのための投資がありますが、それらを総合した投資総額と、生産能力の増加率には、強い相関関係が当然あると考えられていました。それが、2009年を境に、大きく乖離(かいり)するようになったことが、次のグラフからお分かりいただけるでしょう(図1)。青いラインは半導体前工程のファブ装置投資額(左軸)、赤いラインは生産能力増加率(右軸)を示します。

図1●半導体前工程製造装置投資額と生産能力増加率の推移
図1●半導体前工程製造装置投資額と生産能力増加率の推移
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 図1からは2つの意味を読み取ることができます。まず、半導体産業が過剰投資を避けるため、生産能力の拡大に慎重になっているということです。2003年から2008年までは、10%以上の生産力の増加が毎年ありましたが、2009年の世界不況を経て成長率は鈍化し、2012年以降は通常時ではかつて見られなかった2%前後の低水準で推移しています。この経営方針は、DRAM価格の維持に代表される好況を業界にもたらしました。

 もう1つ読み取れるのは、わずか2%の生産能力拡大のために、2008年以前と同等以上の装置設備投資を業界は強いられているという現実です。その理由となるのが、微細化を推し進めるための製造プロセスの複雑化であり、SEMIの観測では、既存設備の最新テクノロジーへのアップグレードにより、生産能力が8%~15%減少するケースが発生しています。

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