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山本 例えば、「ある人は、どちらかといえば黒いスーツが好き。黒いスーツを着る頻度は何%で、それに見合う所得があるので黒いスーツを買う傾向があります」ということが分かるとするじゃないですか。でも、その情報を使って黒いスーツをリコメンド(推薦)することだけが本来のビジネスではない。あくまで需要予測の世界です。特定の嗜好がどのくらい市場を持っているか、どういう人物がそのような嗜好の消費をするかという話です。

 こうした人の嗜好を導き出す仕組みは、ソフトウエアの世界ではある程度、既にできているのですが、具体的な製品に落とし込むところはまだまだ人間がしっかり考えなければなりません。あくまでデータは結果の集積であって、線形のものしか未来予測できないわけですよ。

 少量多品種の世界になって多様性が大事だ、それを支える技術体系が必要だとはいままでも言われてきました。でも、「さらにハードウエアの機能的なところまで引き上げたレイヤーで多様性を分析しているか」と言えば、実はあまりやっていないんですよね。似たようなポータブルPCやタブレットの色違いがたくさん出たりする。多様性って、本来そういう意味じゃないでしょ。デザインやコンセプトの好き嫌いといった感覚や、欲しい機能のフィット感だったりする。

 その部分にエレクトロニクスやメカトロニクスといったハードウエアの世界の人たちが歩み寄ってビジネスを構築していかないと、これから大変なことになると思いますよ。

(写真:加藤 康)
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