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蓄冷材の保冷機能によって、停電時にも保冷できる「蓄冷冷蔵庫」。写真は、2014年6月にシャープが開催した「新規事業分野の取り組みに関する説明会」で撮影した。
蓄冷材の保冷機能によって、停電時にも保冷できる「蓄冷冷蔵庫」。写真は、2014年6月にシャープが開催した「新規事業分野の取り組みに関する説明会」で撮影した。
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 蓄冷冷蔵庫の蓄冷材の開発も同じだ。混合する有機材料の選択や混合比率を最適化し、冷蔵温度帯で凍結する蓄冷材を新たに開発。これによって蓄冷冷蔵庫を実現した。さらに、燃えにくい蓄冷材を開発したことで、製品化にこぎ着けることができたという。

 実際、この蓄冷材の開発では、液晶技術で腕を磨いた複数の材料技術者が参画している。国内の液晶パネルメーカーの事業撤退が相次ぎ、技術者の活躍の場が失われていく中で、シャープはこうした技術者を採用してきた。中には、液晶分野の開発に携われない可能性を承知の上で、シャープに移籍した技術者もいる。蓄冷材を開発した立役者の中には、そうした技術者も少なくない。

 蓄冷材を開発した材料技術者は、自らインドネシアに飛び、停電が頻繁に起こる現地を走り回って蓄冷冷蔵庫のニーズをつかんできた。停電はどのような頻度で起こるのか。現地ではどのような食材を冷蔵庫で保存しているのか。停電が起こると、どのような困りごとが起こるのか。

 開発した蓄冷材による保冷時間は約2時間と、決して長くはない。しかし、これで十分に役立つことを、インドネシアの現場に飛び込んだ材料技術者は知っていた。1回の停電時間は短いが、頻繁に停電することに現地の人は悩んでいたのである。

 市場で求められる技術を明確化し、目標を定め、蓄冷材の開発に邁進した。技術者の現地調査に裏打ちされた開発プランは説得力を持ち、会社を動かす。何より技術者の士気が高かった。蓄冷冷蔵庫の製品化は、こうした技術者の努力の賜物といえる。このような技術が大輪の花を咲かせることを期待している。