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「切る」「削る」「磨く」「接合する」などといった工程をすべて光で行う生産システムの実現に向け、東京大学を中心に理化学研究所、複数の企業が、革新的な技術開発を進めている。その活動の場となっているのが、「コヒーレントフォトン技術によるイノベーション拠点(Innovative center for coherent photon technology:ICCPT)」である。

 工業製品を大量生産し、大量消費する。こうした私たちがこれまで進めてきた、ものづくりと、社会活動のスタイルを見直すべき時期が来ている。一人ひとりの個性に合わせた使い手にやさしいモノを作り出し、天然資源やエネルギーを有効活用して社会活動の継続的な営みを支えることができる新しいものづくりである。大学、研究機関、産業界に散在する日本の高度な知恵を集めて、未来のものづくりの基軸となる技術開発を目指す。

 19世紀の産業革命以来、私たちは、科学技術を駆使して工業製品を大量生産してきた。そして、同じ製品を、安いコストで、大量に作り出すために、金型を使った成形、原版を転写するリソグラフィー、一括で行う熱処理や表面処理などの数々の技術を進化させてきた。科学の発展もまた、大量生産に向けた技術の進歩を支援すべく、多くの知見を提供してきた。

 大量生産をベースとしたものづくりによって、私たちは、高度な工業製品を安価に手に入れることが可能になった。その成果として、洗練された社会と人々の豊かな生活が実現したことは疑いようがない。しかしその一方で、大量生産の負の側面が、目立つようにもなってきた。

顕在化する大量生産の負の側面

 大量生産によって作られた工業製品は、仕様が画一的になりがちである。使い手に製品仕様に合った利用方法を強いることも多い。使い手は十人十色。使い手側が製品に合わせて利用するにも限りがある。使い手ごとの個性の違いに合わせて作られた製品がないことが、利便性を損なったり、継続的な利用を困難にしたり、利用シーンを限定したりする要因になっている。

 また、工業製品を大量生産する過程では、原料やエネルギーの利用は必ずしも効率的であるとは言えない状態である。こうした状況は、大量の廃棄物による環境汚染、資源の枯渇を誘発する原因になっている。

 使い手の個を生かすため、また持続的な社会を築くため、大量生産ベースのものづくりを根本的に見直すべき時期にきていると言える。