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あらゆる製品に適用できることを実証

 私は2008年3月に広島大学を63歳で定年退職し、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)の顧問に就任した。この時代は、本格的なMDコンサルティングは始まらなかったが、多くの会社を訪問してコミュニケーションを取れたことや、幾つかの会社で2~3カ月の“お試しコンサルティング”をしたことで、MDの適用性拡大の自信を得た。

 そんな中、『日経ものづくり』2008年6月号に「超低価格を凌駕する」という特集記事が掲載され、その手段としてA.T.カーニーのパートナーである川原英司氏は「限られた開発資源で低価格から高付加価値まで幅広く手掛けるには、製品の枠を超えてあらゆる部品の共通化を進めることで『規模の経済』を活用する設計手法が極めて有効になる」「製品全体をブロックのようにモジュール化し、これらのモジュールを組み合わせることでバリエーションを実現するような手法が不可欠になる」と語っていた。

日経BP社から『実践 モジュラーデザイン』を出版した
日経BP社から『実践 モジュラーデザイン』を出版した

 これらの指摘は、まさに、私が提案しているMDそのものだった。記事内ではその手法が具体的に紹介されていなかったので、日経BP社にMDを売り込み、早速2008年7月の日経ものづくり主催セミナーでMDの講演をした。このことが、その後の『実践 モジュラーデザイン』の出版や、「ものづくり塾」(現・技術者塾)での定期的なMDセミナーの開催につながった。

 日経BP社とのつながりができた後は多くの会社から声が掛かるようになり、さまざまな製品でMDのコンサルティングをした。その結果、見込型メカ製品、個別受注型メカ製品、メカトロニクス製品、生活家電、デジタル家電、デバイス製品など、ほとんどすべての製品にMDが適用可能であることを実証できた。