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マツダが2015年2月4日に発表した2014年4~12月期の連結決算では、純利益が1314億円と、前年同期比70%増と9カ月間で最高を記録。2015年3月期通期の業績見通しでも、利益予想は据え置いたものの売上高は500億円上方修正した。こうした同社の好調な業績の根幹にあるのは、「SKYACTIV」技術の開発と並行して進めてきた「モノ造り革新」である。「マツダ創業以来の大プロジェクト」と位置付けるモノ造り革新の真髄を、代表取締役会長である金井誠太氏が自ら語った。
[本記事は「第99回品質管理シンポジウム」(主催:日本科学技術連盟)の講演内容を基にしたものです。]

金井誠太(かない・せいた) 1950年1月生まれ。1974年東洋工業(現マツダ)入社。1996年9月同社車両先行設計部長、1999年8月主査本部主査、2002年8月車両コンポーネント開発本部長、2003年6月執行役員車両コンポーネント開発本部長、2004年6月常務執行役員、2006年6月取締役専務執行役員、2011年6月代表取締役副社長執行役員、2013年6月代表取締役副社長を経て、2014年6月代表取締役会長に就任。現在に至る。趣味は読書、ドライブ。

 前回紹介したような一連の活動の中で横串として社員全員に浸透しているのが、仕事を進める上で大切にすべき考え方「Mazda Way」です。人づくりのチームが2006年から1年半ぐらいかけてまとめ、2008年に制定したものです。

 このMazda Wayも、SKYACTIVも、そしてモノ造り革新も、全て2006年に「10年後のビジョンをつくろう」という活動の中で実現してきました。私は、社員の皆が2006年に2015年を見据えたこと、10年後に自分たちはどうありたいかを真剣に考えたことが非常に大きかったと思っています。

 なぜ、10年後だったのか――。実は、3年後や5年後のことを考えると、どうしても現状をベースにできることとやりたいことがせめぎ合う形になってしまいます。ところが10年後だと、結構夢を語りやすくなるんです。とはいえ、最初はなかなか出てきません。それまでやったことがありませんから。しかし議論を重ねていくうちに、何人かが「こうありたい」とポッと言い始める。すると、私は「こうだ」、僕は「ああなりたい」と議論が発展し、皆のイメージがだんだんとそろっていく。最初は「どうせできっこない」と思っていた人も、「そうなるといいね」「本当にできたらいいよね」と、ベクトルが一つになってくるんです。

 ただ、ちょっと落とし穴みたいな話なんですが、皆は2006年に2015年のあるべき姿を考えていますから、10年先のことだと思っている。けれど、「2015年にそうなるためには、2011年に量産する車から変えていかないと、目標の2015年までには全車を切り替えることができない。つまり、実行開始は2011年だよね」と言うと、皆一斉に「えーっ」と声を上げるんです。しかし、もう皆の気持ちは「やりたい」という思いで固まっていたので、何とか実現することができました。