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 前回からスポーツ好きの人々から大きな支持を集めている人気ヘッドホンの開発について紹介しています。老舗オーディオ・ブランド「DENON(デノン)」が展開する「エクササイズフリークAH-W150」です。

 特徴は、スポーツ用にとことん特化させた仕様。Bluetoothのワイヤレス機能で身体を動かすときに邪魔になるコードをなくし、運動の最中でも耳から外れにくい工夫を加え、防水機能で汗や雨にも対応できるようにしています。「老舗」「高級」のイメージが強いDENONブランドの中では、異質のイメージを持つ商品です。

 前回は商品企画のプロセスを中心に、なぜ従来の発想とは全く異なる分野の商品の投入が可能になったかを分析しました。そこから見えてきたヒットの要諦は、次の二つでした。

■前回の「ヒットの要諦」
その1:
まずコンセプトありき、具体的な想定ユーザーのペルソナを特定せよ!
その2:
開発プロセスを従来とは180度違うスタイルに変えてみるべし!

 前回も紹介したように、エクササイズフリークの開発は「まずコンセプトありき」で始まりました。「そもそもヘッドホンを使うのは誰だろう?」という根本の問いから検討を開始し、そこから生まれた「スポーツ好き」という想定ユーザーを念頭に、利用シーンを考えながら仕様を検討していくスタイルです。もちろん、このプロセスを採る開発では、先行するコンセプトが絵に描いた餅に終わらぬように具現化する技術開発が不可欠。今回は、それを実行した開発メンバーたちの奮闘に迫りたいと思います。ひと言で言えば、まさに体当たりの開発でした。

とにかく、すべてが初めての取り組み

DENONのスポーツ向けヘッドホン「エクササイズフリーク」(写真:D&Mホールディングス)
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 D&Mホールディングスで開発を担当したメンバーは、オーディオ機器やヘッドホンなどの製品開発で豊富な経験を持つ技術者たちです。でも、スポーツ用に特化したヘッドホンの開発は、長い歴史を持つDENONブランドでも初めての試み。社内を見渡してもスポーツ向けの商品を開発した経験のある人はいませんでした。それ故に、とにかくすべてが初めての取り組みで、ノウハウや土地勘をゼロから探って知識を積んでいく必要があったのです。

 当然のことながら、商品開発では試行錯誤や暗中模索を繰り返しました。その中で、開発メンバーが一貫して実行した取り組みがあります。それは、自らがユーザーとなって実体験することです。エクササイズフリークの特徴であるBluetoothのワイヤレス機能や、ヘッドホンの装着感をよりよいものにするため、とにかく実体験することに徹底して取り組んだのです。

 例えば、Bluetoothのワイヤレス機能。既に世の中でBluetoothヘッドホンは当たり前ですが、DENONでは今回が初めての開発品でした。その背景には、老舗の高級ブランドとしての矜持があります。

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