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 最近、取材をする中でよく耳にするのが「人手不足」です。少子高齢化や労働条件のミスマッチなどを背景に、建設業や物流・運輸・サービス業といったさまざまな業界が深刻な人手不足に直面しています。先日ある建設会社を取材したとき、担当の方が「震災復興や東京五輪などで仕事が増えているが、現場で働く作業員をそれなりの給与条件で募集しているのにぜんぜん集まらない」とぼやいていました。

 こうした人手不足の切り札として注目されているのがセンサーやロボット、クラウドコンピューティングといったICT(情報通信技術)です。各業界で導入の機運が急速に高まっています。

 例えば建設業界では、コマツが2015年2月からICTを活用した建設現場の支援システム「スマートコンストラクション」の提供を始めました。無人飛行体(ドローン)や建機の自動操縦を駆使して建設現場の生産効率向上を目指すシステムです。ドローンで作成した現場の3Dモデルを基に施工計画を立てた後、この計画に基づいて建機による整地や掘削作業を一部自動化します。このシステムを導入することで、現場の工事費を2~3割、人手を半分程度に減らすことができるそうです。

 商業施設などの防犯・防災を担う警備業界にも、ICTの波は押し寄せています。綜合警備保障(ALSOK)は施設の案内や迷子・不審者、不審物などの発見、音による異常検知、進入禁止エリアの監視など、人間の警備員に近い多様な行動ができるロボット「Reborg-X(リボーグエックス)」を2015年4月から販売しています。同社は1982年から警備ロボットの開発に取り組んでいますが、今回の新型機では不審物を検知する機能や障害物を自動回避する機能などが追加されました。価格は1500万円前後からと高額ですが、警備員の人手を減らせることを考慮すると5年程度で導入コストを回収できるそうです。

 日経エレクトロニクス5月号の「Hot News」では、人手不足の切り札としてコマツやALSOKが注力するこれらの技術について取り上げます。その先出し記事を、本誌のWebサイトに掲載しました(「コマツが建築現場に革新技術、ドローンや自動操縦を駆使」「人間の警備に近づいたALSOKの新型ロボット」)。誌面スペースの関係で掲載できなかった全文を載せていますので、ご興味のある方はぜひご一読いただければ幸いです。

 コマツのシステムやALSOKのロボットは、ドローンなどの一部を除くと、ある程度成熟した技術を組み合わせたものです。他の業界から見ると、エレクトロニクス業界はまだまだ“宝の山”が眠っているのかもしれません。技術を追いかける記者としては最先端の技術に目を奪われがちですが、こうした「成熟技術の応用」にもしっかり目を向けて報じる必要があると最近強く感じるようになりました。