PR

 前回はコンピューターネットワークの誕生から今日のインターネットに至るまでをおさらいしてみました。今回はインターネットへの接続手段についてのおはなしです。

Dialup to Broadband

 インターネットの接続も当初はPC通信と同じく既存インフラへの寄生、すなわちデジタルデータを音声信号に変換して電話に流す「モデム(MODEM、MOdulator-DEModulator)」が使われていました。70年代のEDPS(Electronic Data Processing System)接続や草の根ネットワークでは既存電話器の受話器をはめこんで使う音響カプラー(Acoustic coupler)が使われており、150~600bpsの「流れてくる文字が1文字づつ読める程度」の速度で通信していました。

 80年代に入ってコンピューターを電話回線に接続する専用機器であるモデムが登場すると、速度は1200、2400、4800、9600、14.4K、28.8K、33.6K、56K・・・という風に、数年ごとに2倍の速度で改良されてゆきました。90年代末期には56Kbpsモデムの標準規格をめぐって米USRobotics社の「X2方式」と米Rockwell/仏Lucent社の「K56FLEX方式」が(不毛な)争いを繰り広げたのも昔話です。

 これら電話回線を使った接続方式は「ダイヤルアップ方式」と呼ばれました。使いたいときにプロバイダーーの基地局へ電話をかけ、使い終わったら切断するという方式です。当然ながらプロバイダー料金に加えて電話料金が掛かるので、特に通話料の高い日本では「テレホーダイ」など深夜の通話割引サービスが重宝されましたが、これももう昔話ですね。

 さて90年代後半になってインターネットの利用価値が高まるにつれ、ダイヤルアップよりも高速で確実な専用のインターネット接続、俗に言う「ブロードバンド接続」への要望が高まってきました。これは「ラストワンマイル」問題とも言われ、さまざまな方式が提唱されましたが、最終的には電話回線に高周波を流すADSL方式がほぼデファクトスタンダードとして定着しました。2000年以後は100Mbps以上のリンク速度を誇る光ファイバー(FTTH:Fiber To The Home)が特に日本の都市圏で普及しADSLを次第に置き換えていますが、世界的にはまだ少数です。

 ブロードバンドはダイヤルアップよりも高速であると同時に、「いつでも使える」常時接続であるところも肝です。「ネットがあるのが当たり前」「つながっているのが当たり前」という、90年代には大学や大企業の研究所にしかなかった環境が普通の一般家庭に普及していることは、よく考えてみると凄いことなのですね。