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現場の半導体に頼るしかない

 リアルタイム性が求められるシーンでは、クラウドではなく現場の半導体の処理能力に頼るしかない。何を測定するか、どれくらいの精度が求められるのか、データを解析して何秒で判断できるか、その信頼性はどれくらいか――。

 半導体の実力を熟知し、その性能を最大限に引き出す現場対応力がなければ実現しない。半導体は、環境が変わるとスペック通りの性能が出ないことがよくある。社会的課題を解決する連携の輪の中に、半導体メーカーは必須になる。

 既にそのことに気がつき、スマート社会のためにソリューションを半導体メーカーと開発する企業が出始めた。例えば、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2013年から実施している「次世代スマートデバイス開発プロジェクト」などがある。デンソーや豊田中央研究所、図研、ルネサスエレクトロニクス、ラピスセミコンダクタなどが参加し、自動車の周辺情報を集め、即座に状況を把握するための技術開発を行っている。

緩やかな連携が価値生む

 半導体の連携戦略には変遷の歴史がある。第1段階は、業界全体での緩やかな連携。例えば、工業会のような活動がこれにあたる。第2段階は、同業による強い連携。例えば、1980年代のDRAMの製造プロセスの共同開発といった比較的強いつながりが挙げられる。第3段階は、異業種との強いつながり。1990年代に、特定のセットメーカーに向けてSoC(System on Chip)を開発していた時期がこれに当たる。

 スマート社会戦略における半導体メーカーの連携は、第4段階と位置づけられる。「スマート社会戦略における連携は、異業種との緩やかなつながりがポイントになることが分かった」(同氏)。それは、スマート社会戦略においては、前述した6つの技術の方向性が重要になり、これは広く共通に使える。

 また、つながりが緩い方が、新しい発想が生まれやすい点もある。異業種が集まり、相互学習と情報交流を行うと新鮮な意見に刺激を受けて、どんどんアイデアが生まれる。結果として顧客に提供する価値を増やすことができる。

 「半導体のスマート社会戦略の第一歩は、最終顧客の価値を理解することである」(同氏)。その価値を実現するために6つの方向性に合った技術を開発し、それを活用して異業種との緩い連携で価値創造のソリューションを生み出す(図3)。最終顧客の価値から始まるループを回していくことができれば、日本の半導体メーカーが再び世界市場で高いシェアを取る新しいステップに進める。

図3 半導体メーカーのスマート戦略(出典:半導体産業研究所)
この記事は日本経済新聞電子版のエネルギー分野のコラム「エネルギー新世紀」から転載したものです。