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したくてもできなくなっている現実

 しかし、筋金入りはもちろん、多くの研究者の方々は、世間から隔離されているとは言わないまでも、かなり憂き世とは遠い位置におられる方々と言えまいか。

 私は、このような浮世離れした方々が、実は、浮世を救うのではないかと思っているのである。

 だから、最初に、浮世離れは悪いことではないと申し上げなければいけない。一般的には浮世離れと言うと、現実的ではない、あるいは世間とかけ離れていて、直ぐには役に立たないと思っている人の方が多いのではなかろうか。

 しかし、私は最近、かえってそれだからいいのではないかと思うのだ。

 解説が必要だ。研究者の間で使う言葉に「基礎研究」というのがある。商品や具体的な事業とは直接つながらない、あるいは、つながらないかもしれないが、いつか役立つ(そう思う人とそうでなくてもよいと思う人がいる)研究のことである。特に大学などは、学術的に高度で専門に特化したものが多く、一見、一般的な産業界とは無関係な研究を言う場合もあるようだ。

 いずれにしても、現実のビジネスとはかけ離れた研究活動のことであるが、基礎研究といえども無駄な研究などあるはずはない。いつかは、世の中に役立つことなのである。

 しかし、この基礎研究的な開発が、実は、多くの企業では、したくてもできなくなっている現実がある。

 企業にとって、いかに早い段階で利益をあげるか、それが企業の使命というか宿命であるのだから、それは当り前かもしれない。

 とは言え、それを裏返せば、企業の将来に役立つような基礎的な研究開発に取り組めないということで、言わば、軽薄短小的な研究になりがちなのである。