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 たまに、「あの人、浮世離れしている」と言うことがある。浮世離れとは、世間の常識からかけ離れた言動や事柄のことで、あまり周囲のことを考えず、ひたすら我が道を行くマイペース、あるいは、ノンビリしている人と言うことだろうか。

 さて、浮世(うきよ)という言葉は「憂き世」とも書くくらいで、辛く苦しいこの世の中、つまり、日頃の仕事や生活に追われている日常の有様を表している。

 また、当世の厳しい風に吹かれて世知辛いという意味もあるようだ。従って、浮き世離れした人は、どちらかと言えば、浮世の忙(せわ)しない現実から離れて暮らしている、シアワセな人達のことかもしれない。

 その浮世離れ的な人たちの多いところが、実はある。それが、大学の研究室や公的研究機関、いわゆる研究所と呼ばれるところであり、そこには、専ら研究だけに没頭している人たちがいる。

 多くは博士号を持っていて、それぞれに専門分野があり、研究テーマを聞いてもよく分からないような、まさに一般人の日常とは掛け離れた研究をしている研究者である。

 私はこれまでに、多くの大学の研究室や公的研究機関の研究成果を事業化するお手伝いをしてきたが、そこで多くの研究者と話す機会を得た。

 高度な研究をしている研究者は、ほとんどが浮世離れとも言える研究テーマに取り組んでいて、中には、「筋金入り」の浮世離れぶりの研究者もおられた。

 その研究テーマを聞くと、分からないと言うより、用語が難解を通り越して、これが言語なのかと疑うような、憂き世にいる者として不明を恥じるばかりであった。