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マネジメントの標準化の威力

 いろいろな会社がトヨタ自動車を真似ようとしてきましたが、これまで同じようにうまくいった会社を見たことがありません。ここで「うまくいった」を具体的に言うと、

(1)経営的な成果(2 兆円を超える利益を生み出しているという事実)
(2)「金太郎飴」(マネジメントの標準化)に成功した組織文化・風土
──です。

 実は、(1)は(2)によって実現しているのですが、(2)の重要性を理解していない人が多いのではないでしょうか。講演などで「我々の会社は、改善を全社員が一丸となってやっています。QC(品質管理)活動を通じて改善文化・風土が出来つつあります」という話を聞きますが、どうもしっくりときません。

 社員の方と会話すると、TPS用語や改善の方法は伝わっています。けれど、「思い」や「志」、「モノの見方」や「考え方」、また改善を通じて自分が変われたという話を聞けない会社が多いというのが実態です。

 その理由は何だろうと考えていくと、目先の「問題解決型」の改善によって改善文化・風土をつくろうとしていることに、「第一の誤り」があることが分かってきました。トヨタ自動車はそうではなく、「改善し続ける体質」を持つ社員の育成に狙いを定めています。もちろん、トヨタ自動車も「問題解決型」の改善を進めていますが、それとは別に「トヨタウェイ」に沿った原理・原則、共通の価値観を持てるように指導しています。

 ここで言う問題解決型の改善というのは、「あるべき姿」と「現状」との違いを確認し、その間を埋めるための改善のことを指しています。この問題解決型の改善も高い効果は期待できるが、「短い期間」での体質づくりには結びつかない。というのも、単なる問題解決型の改善活動の場合には、

(1)自分の価値観、モノの見方についての日々の「振り返り」がない。
(2)長い周期(数日~数カ月)に渡るため自己成長や達成感を覚えられない。
──からです。

 問題解決型の改善を実践していても、トヨタ自動車のように「現地・現物」で行動をしなさいと指導されるような環境が、トヨタ自動車以外の会社にはあまり存在していないのではないでしょうか。多くの日本企業の管理者は、問題解決型の改善を進めて行く中で、共通の価値観(現地・現物、人間性尊重、ジャストインタイム、自働化など)を指導できていません。そもそも、価値観の共有が大きな問題であることに気づいていない会社が多いのです。

 TMS を実践することで、新たな仕事の習慣を身につけ、意識の改善や共通の価値観の醸成を行いつつ、問題解決型の改善も並行して進めていくことが重要です。問題解決型の改善だけでは、いつまでたってもトヨタ自動車と同じような金太郎飴(マネジメントの標準化)をつくることができません。

 「なぜ金太郎飴のような企業文化・風土が必要なのか」についても、普通の会社員の人たちには理解できない領域なのかもしれません。実は、人によって変わらない金太郎飴のようなマネジメントの標準化によって、莫大な間接費用の削減を実現できることをほとんどの人が知らないのです。