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ジェムコ日本経営コンサルティング事業部 本部長コンサルタントの古谷賢一氏
ジェムコ日本経営コンサルティング事業部 本部長コンサルタントの古谷賢一氏
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 製造現場の改革を数多く手掛けるジェムコ日本経営コンサルティング事業部 本部長コンサルタントの古谷賢一氏は、日本の強さの源泉とも言うべき開発や設計、製造などの現場力が弱体化していると指摘する。その現場力の低下は、品質低下にもつながる。同氏に、今の製造現場に絞って、その悩みと品質に関する問題について聞いた。(聞き手は吉田 勝=日経ものづくり)

――かねて現場力の低下の危険性を指摘されていますね。

 そもそも日本の製造現場の現場力が低下しているのは、国内市場の縮小や、新市場を求めて工場を海外にシフトさせたことが主な要因です。2008年秋のリーマンショック前まで1170万人いた日本の製造業の就業者数は、2012年12月末には998万と1000万人を切るまで落ち込みました。こうした状況から、今、多くの現場が現場力の低下という問題に直面しています。それは、日本が誇ってきた品質の低下に直結します。

 例えば、私がコンサルティングを頼まれたA社は、品質問題がなかなか減らないという悩みを抱えていました。そこで、まず同社の工場を訪問して、品質の作り込みの実態を確認してみました。すると、品質管理の基本であるQC工程図がないがしろになっていることが分かりました。

 もちろんQC工程図(工程表)自体はあります。しかし、それはISOの監査への対応に向けた形式的なものに過ぎず、中身は数年前の旧モデルの製造工程を基に作成したものをコピペしただけでした。当然、QC工程図に示された工程は、現場の実作業とかい離しています。そこを監査の直前につじつま合わせの修正で何とか体裁を保っていたのです。そんな状態ですから、もちろん管理項目などの議論は全く行われていません。

 QC工程図の本来の目的は、品質を確保するために、それぞれの工程で何をすべきかを洗い出し、どう管理するかを考えることです。しかし、残念ながらQC工程図を作ること自体が目的化してしまっていたのです。QC工程図という品質を確保するための基本的な仕組みが形骸化しているのですから、品質が良くなるはずがありません。ところがその問題に気付いていないのです。実はこうした工場は少なくありません。

 それなのに「品質問題がなくならない」と嘆いている。A社の場合は、QC工程図の意味を再度全員で確認し、各工程で品質を確保するために管理しなければいけない項目を洗い出すことから始めました。その上で、工程で品質を作り込むという基本に立ち返った活動を進めることで、不良の大幅な削減に成功しています。

――現場力の低下は他の面でも顕在化してきていますか。

 現場力が低いと、せっかく改善活動に取り組んでもその効果が出なかったり、効果が定着しなかったりします。例えば、私が訪れたB社は、生産性の改善に積極的に取り組む会社でしたが、なかなか効果が上がりませんでした。

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