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 「One Sony(1つのソニー)」を掲げていたのに、どうして分社化を進めるのか──。2015年2月18日に開いた中期経営計画(以下、中計)の説明会で、ソニーが多くの事業を分社化する方針を打ち出したことを聞いて、こう首をかしげた人は少なくなかったことだろう。

 2012年4月にソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した平井一夫氏は、組織の縦割りの壁を壊すことによる「One Sonyの実現」「One Management(1つの経営)体制の徹底」を当初から掲げて経営してきた。

 それから3年が経ち、ソニーは分社化を加速しようとしている。携帯電話事業、テレビ事業に加えて、「ウォークマン」などのビデオ&サウンド事業を分社化する方針を打ち出した。エレクトロニクス部門では、他の事業に関しても分社化を進めていく考えだ。

 One Sonyと矛盾するように見える分社化を加速するソニーはどこに向かうのか。

 2015年4月1~23日に、日経テクノロジーオンラインの「技術経営」サイトで最も読まれた記事は「分社化を進めるソニーを待ち受ける3つのシナリオ」だった。同記事では、会計の視点から注目を集めている業界や企業の動向を分析している。そこで取り上げたのが、ソニーの分社化だった。ソニーは中計で2017年度に株主資本利益率(ROE)を10%に高めるという目標を掲げた。この目標を達成するには、各事業の収益性を高めることが欠かせない。

 そこでソニーは、分社化を進めることで、各事業の「結果責任・説明責任の明確化」を目指す。しかしながら、分社化はイノベーションを生む源泉となるチャレンジ精神を阻害する可能性がある。同記事中で執筆者の金子智朗氏は以下のように指摘する。

 「結果責任を厳しく問われているとき、やってみなければ分からないことに、一体誰が手を出すだろうか。結果責任を厳しく問われたら、手堅く利益が出ることしかやらないのが普通だ。過度に結果責任を追及することはイノベーションを阻害するのである」