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 「エモーショナルな感じでこういった処分になってしまい残念」――。上西小百合衆議院議員が、衆議院本会議の欠席やその前後の行動などに問題があったとして、当時所属していた「維新の党」を除名されるに当たって発した言葉です。この「エモーショナル」という言葉ですが、最近、製造業の関係者から、魅力的な製品を開発するためのキーワードとして聞く機会が増えています。

 特に印象に残っているのが、デザイン性に優れた家電製品などを手掛けるamadanaの代表取締役社長の熊本浩志氏の発言です。熊本氏によれば、家電や日用品など分野を問わず、「今や、機能的にある水準以上のスペックを見たし、価格面でもそこそこの競争力があるだけではダメ。それに加えて、何かエモーショナル(感情に訴えるよう)なプラスアルファの価値が必要になっている」と述べました。熊本氏は、流通業界のプライベートブランド(PB)を例に出し、「かつてのPBは、大量に調達して、同じ品質の製品を安く売って価値に変えるというパターンが主流だった。しかし、最近は、『セブンプレミアム』のように、いわゆるプレミアム化が急速に進みつつある」(熊本氏)ことをその例として挙げます。この見方が的を射ていることは、最近になってイオンが、これまで価格訴求を重視してきたPBをめぐる商品政策を180度転換し、「つまらないPB」と決別し、安さ以外の価値を追求する方針を固めたことからも明らかです(関連記事)。

 これと同じ構図が製造業でも当てはまるようになっています。商品開発のトレンドは今、処理性能や輝度、解像度といったスペックを追い求める「数値化できる付加価値」から、ユーザーの感情に直接訴えかける「エモーショナルな付加価値」にシフトしてきています。近年の電子機器などでは、デジタル化の進展に伴い、部品のコモディティー化が急速に進んでいます。この結果、メーカーを問わず、機能的にある水準以上のスペックを満たし、価格面でも一定の競争力を持つ製品を供給することができるようになりつつあります。

 こうした状況で、ユーザーの支持を集めているのは、「使って楽しい」「とにかくワクワクする」「高級感に心が満たされる」といった、ユーザーの感情に訴えることができるプラスアルファの価値を備えた製品であるというわけです。具体的な例も枚挙にいとまがありません。例えば、米Tesla Motors社が手掛ける高級セダンのEV「Model S」。800万円を超える高価格ながら、2012年の発売以来、世界で6万台近くを売りさばいたこのEVは、停止状態から約3.3秒強(上位モデル)で時速100kmまで加速できる、スポーツカー並みの走行性能などがユーザーの心を鷲づかみにしています。米Apple社が発売した「Apple Watch」では、連携するiPhoneへの着信などを、スマートフォンのバイブレーションとは明らかに異なる心地よい振動によってユーザーに知らせることができます。これらは一例に過ぎませんが、ユーザーの感情に訴える典型的な機能といえるでしょう。

 今後、良い意味で極めて「エモーショナル」な製品が日本メーカーから次々と生み出されることを願わずにはいられません。