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 日経BP社が企画したアナログ設計連続講座についての本連載4回目で取り上げるのは、「高精度自動集積回路設計のためのシリコントランジスタモデリング」である。本連続講座を監修した群馬大学 教授の小林春夫氏によれば、アナログ回路を設計するときに実行するシミュレーションにおいて、シミュレーションのモデルを理解する意義は大きく、設計する回路に“深み”が出てくるという。モデルを理解する必要性を同氏に聞いた。(聞き手は日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――アナログ設計連続講座では、デバイスモデリングについての講座「高精度自動集積回路設計のためのシリコントランジスタモデリング」も用意いただきました。この講座を企画された意図や狙いを教えてください。

小林氏 回路設計者は、SPICEパラメーターを受け取ったら、中身が何であるか、そのデバイスがどのような特性を備えているかを別段意識せず、それを基にシミュレーションを実施して結果を出すということが多いのが実情でしょう。そのようなときに、シミュレーションで用いるモデルを知っておくと、仕事の効率や質が大きく高まります。

 モデリングは、回路と半導体デバイス/プロセスのインターフェースになっています。そのつなぎのところをよく知ることで、優れた回路設計につながります。シミュレーションに用いるモデルは、すべての領域でピタリと合っているわけではありません。モデルが意図する対象領域があるのです。そこで合わせることが重要です。モデルのパラメーターを読んで、デバイスの特徴を理解できるようになると、回路設計者としての能力はかなり高まるといえるでしょう。

――小林先生の経験でもある?

小林氏 私のところでモデリングにも力を入れ始めたのは、名野隆夫氏(元・三洋半導体、現在は名野アナログ回路研究所)とのつながりがきっかけです。名野氏が三洋時代に群馬大学でモデリングの講義を持っていただきました。講義のみならず研究室と勉強会を実施したり、研究も進めたりすることでモデリングの重要性を実感しました。

 今回企画した講座「高精度自動集積回路設計のためのシリコントランジスタモデリング」に登壇いただくのは、群馬大学大学院 理工学府 電子情報部門 客員教授で、モーデック 最高顧問である青木均氏です。同氏は米Hewlett-Packard社などで長らくモデリングを手掛け、自身でモデルの開発にも携わってきました。関連ソフトウエアに対しても多くの知見があります。青木氏は私の研究室で研究や学生指導に力を注いでもらっており、そうした活動からも「モデリングがよく分かっていると優れた回路設計者になれる」ということを実感しています。

 モデルの中身を知ることで、設計する回路に“深み”が出てくると思います。モデルをブラックボックスとして捉えて設計するよりも、モデルの中身をよく理解していて、うまくモデルを活用して設計を進めるのでは雲泥の差があります。