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 こちらから電話を掛ける試みにも失敗した。家内の名前を何回呼んでもうまく認識してくれない。平仮名表記の名前が漢字に変換されてしまうため、アドレス帳でヒットしないようだ。何度か試みた末、ようやくかかったと思ったら、画面に出た名前は家内と同じ読みの名字をもつ上司。思わず、即座に切ってしまった。夜間なので連絡を取るのも失礼かと思い、そのまま相手につながらなかったことを祈った。翌日、当の上司からLINEの友達登録の通知が来たのは全くの偶然だと信じている。

 音声認識機能「Siri」との相性も良くない。呼びかけてもしばしば息が合わず、「すみません、聞き取れませんでした」と謝られてばかりだ。だいたい機能を立ち上げるのに、「Hey! Siri」と呼びかけるのは、人前でなくても恥ずかしい。声による操作は、少なくとも日本人には向いていないのではないか。今でも思い出すのが、満員電車から必死で降りようとしていた男性の姿。人と人のすき間に何とか身をねじ込もうと力を込めるばかりで、「降ります」の一言が出てこない。そういう自分も黙っていたのは、人前で声を上げるのに抵抗があるからだ。どうしても周囲の目が気になってしまうのである。

 音声でなくても操作が快適であれば問題ない。確かにユーザーインターフェース(UI)はよく作り込まれた感がある。ただし、思うがままに使いこなせるかといえば、それほどでもない。画面の時計を下から上に指でなぞると立ち上がる、「グランス」という機能がある。時計をさっと見る(glance)だけで色々な情報がわかる便利な機能だ。画面を左右にこする(スワイプする)と、今日の予定や今の心拍数といった具合に、順番に表示が切り替わる。これが便利なようでいて、ちょっと歯がゆい。

 グランスの中に、iPhoneに入った音楽の再生・停止の機能があって重宝していた。ところが、その挙動がどうもよくわからない。例えば再生中の曲名を指で押すとアルバム・ジャケットが表示されるが、そうなるともう左右にスワイプしても予定や心拍の表示に移れなくなるのである。どうやら、機能が限られた「グランス」表示から、音楽再生アプリ本体に切り替わったらしいのだが、だったら最初から「グランス」ではなく、音楽再生アプリそのものにアクセスできればいいのではないか。