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 大学の工学部が適している地は、都会ではなく地方である――。

 先日、日本においてアナログ技術の研究分野で一目置かれる、群馬大学 大学院 理工学府(電子情報部門)教授の小林春夫氏を訪ねました。小林氏を訪ねたのは、監修いただいた当社主催のアナログ設計連続セミナーに関する記事に向けた取材をするためでしたが、アナログ技術にとどまらない話をうかがうことができました。その中で特に印象に残った言葉が2つ。一つは「大学の工学部で最も重要なのは産業界の情報」、もう一つは冒頭の言葉です。

 小林氏は常々、「一見、逆説的な発想は、考え方の幅を広げ、そして本質的なことに迫ることができる」と考えおり、今回監修いただいたアナログ設計連続セミナーの根底に流れているとのこと。そして、この考え方は大学での研究教育にも当てはまると言います。アナログ設計連続セミナーの詳細はインタビュー記事やセミナーのサイトをご覧いただくとして、ここでは“逆説的な発想”として小林氏が大学の研究教育に対して挙げた理由を紹介します。

論文や研究成果が生き生きする


 まず、「大学の工学部で最も重要なのは産業界の情報」について。小林氏によれば、大学の工学部において技術開発をするとき、どの用途に向けるのか、どの数値を高めるのかなど、開発の方向性を定めるのが難しいことが多々あるそうです。そんなとき、企業の技術者や企業出身の研究者が研究チーム内にいると、開発の方向性が定まりやすくなると、小林氏は強調します。産業界でのインパクトを熟考でき、その上で実用化に向けた研究開発の道のりが明確になるからです。その結果、「産業界の人たちと共同研究すると、論文や研究成果などが非常に生き生きした内容になる」(小林氏)。産業界の動向を見据えた、新たな研究開発にも着手できるでしょう。

 確かに、そうかもしれません。私自身、取材の一環で学術論文を読む機会は多いのですが、その際に「産業界でどのように使われることを狙っているのかが分かりにくい」という論文は少なくありません。その一方、産業界での適用シーンがとても明確な論文もあります。一概には言えませんが、後者は企業に所属する技術者が執筆していたり、共著者に名を連ねたりしているケースが多いように感じます。

 一方、産業界では「産業界で最も重要なのは基礎的・基本的な科学技術の理屈・理論に従った開発」であると、小林氏は考えます。その背景には、理屈や理論に従った開発とは距離を置き、ひたすら大量の人材や資金を投入して“力任せ”の開発をすると、たとえ成功したとしても長続きしないことがあるそうです。